貴ノ岩、3場所ぶり出場「死力尽くす」

スポーツ報知
朝稽古で気合の入った表情を見せる貴ノ岩(右、カメラ・渡辺 了文)

 元横綱・日馬富士関(33)から暴行被害を受けた大相撲の十両・貴ノ岩(28)=貴乃花=が春場所(11日初日・エディオンアリーナ大阪)出場を決めた。9日、師匠の貴乃花親方(元横綱)が3場所ぶりの出場を明かした。

 頭部負傷の不安を必死にぬぐい去った。3場所ぶりの復帰を決意した貴ノ岩が、弟弟子に立ち合いから激しくぶつかった。朝もやの午前7時過ぎ、ゆっくりと土俵に上がると幕内・貴景勝(21)ら関取衆と4番取って全勝。相撲勘も鈍ることなく、右四つからの力強い寄りで復調をアピールした。

 その後も、ストレッチなどに約1時間を費やして体の状態を入念にチェック。この日も部屋の方針で取材対応はしなかったが、3日連続で相撲を取った充実感からか笑顔を取り戻し、ファンとの記念撮影にも気さくに応じた。

 見守った師匠・貴乃花親方は、弟子の春場所への熱意を尊重した形だ。先月26日から徐々に稽古再開。その直後、親方は「人間は頭で当たるのは元々、恐怖心がある」と復帰へ慎重を期す考えを明かしていた。それでも本人と前夜(8日)最終的に話し合った末、「出ます。やってみないと分からないが、本人の『やらせてください』という気持ちもある。死力を尽くす思い」と受け入れた。

 昨年10月に元横綱・日馬富士関の暴行被害を受けて2場所連続の全休。大相撲ファンから心配された。特別救済措置で関取の地位は維持されたものの、番付は下位の十両西12枚目。7勝以上挙げないと幕下転落の危機にさらされる苦境に変わりはない。復帰初日は十両・翔猿(25)=追手風=と対戦。険しい再スタートだが、無心で昨年秋以来約6か月ぶりの本場所土俵に立つ。(小沼 春彦)

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