貴乃花親方、貴公俊の暴行を謝罪「あるまじき行為」

スポーツ報知
部屋宿舎に集まった報道陣の取材に、険しい表情で応じる貴乃花親方(カメラ・保井 秀則)

 大相撲の貴乃花親方(45)=元横綱=は19日、弟子で東十両14枚目・貴公俊(たかよしとし、20)が春場所8日目(エディオンアリーナ大阪)の取組後に、支度部屋で付け人の序二段力士に暴行したことを「あるまじき行為」と謝罪した。貴公俊は謹慎の意味で9日目から休場。協会危機管理委員会はこの日、師弟と付け人を個別に事情聴取。貴乃花親方と貴公俊については29日の理事会で処分を協議すると明らかにした。

 険しい表情で貴乃花親方は打ち明けた。この日早朝、京都・宇治市の宿舎に集まった50人近い報道陣を前に、「これは言い訳がつきません。暴力するということはあるまじき行為」と重く受け止めた。今場所では控えていたテレビカメラの前に立っての取材にも応じ、「深刻な思いです。暴力は絶対にしてはいけない」。囲み取材を2回行い、合計10分以上も謝罪と反省の言葉を繰り返した。

 元日馬富士関の貴ノ岩への暴行が公になった昨年九州場所から約3か月も口を閉ざしてきた。今場所前には暴行問題への協会の対応を問題視。内閣府に告発状を提出する異例の行動に出てまで暴力根絶を訴えてきたが、その信念を間近で聞いていたはずの弟子がまさかの暴行。これまでの言動が説得力を失ったと指摘されかねない事態となったことも、真摯(しんし)な対応につながったのかもしれない。

 事件への対処も迅速だった。貴公俊を「土俵に上げることはできない」と、9日目からの休場を朝一番で明かした。午前10時の臨時会合では八角理事長(元横綱・北勝海)に、「反省以上の気持ち」を込めて謝罪。その後は大阪市内で危機管理委員会の聴取を約1時間受けた。「事実をそのままお伝えしました」と報道陣に明かし、被害を受けた付け人、貴公俊の順で個別に聴取を受けさせ早期解決に協力した。元日馬富士関の暴行問題当初に聴取を拒み続けた、かたくなな態度とは正反対だった。

 聴取を終えた午後2時過ぎに協会執行部の指示を仰いで役員室に戻り、3時間以上滞在。初日から連絡もなしに無断欠勤を続け、5日目以降は最長でも1時間15分滞在しただけで欠勤扱いとなっていた。春日野広報部長(元関脇・栃乃和歌)は「今日はオーケー。できれば理事長より先に帰ってもらいたくなかったけどね」と語り、今場所初の出勤扱いとした。

 貴乃花親方は、元日馬富士関の暴行問題を受けて提出した警察への「被害届は出しません」と明言。付け人は病院に行かず出場を続けるという。役員室では同問題で謝罪を拒否した元日馬富士関の師匠・伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)と隣り合わせに座った。この問題では協会への報告義務を怠ったとして理事から役員待遇に2階級降格した貴乃花親方は、まな弟子の不祥事によって29日の理事会でまた処分を受けることになってしまった。

 ◆貴公俊の付け人暴行事件 春場所8日目の18日、十両の貴公俊は取組前の土俵下に入るタイミングが大幅に遅れ境川審判長(元小結・両国)から叱責された。付け人の指示が遅かったことが原因で、腹を立てた貴公俊は東支度部屋に戻ると入り口付近で付け人の顔などを数回殴打。付け人は顔が腫れ口から出血した。その後、危機管理委員会の鏡山部長(元関脇・多賀竜)の事情聴取を受け暴行の事実を認めた。

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