豪風、勝ち越し決め年長再入幕が濃厚

スポーツ報知
碧山(左)を突き落としで破り勝ち越した豪風

◆大相撲春場所10日目 ○豪風(突き落とし)碧山●(20日・エディオンアリーナ大阪)

 大相撲春場所10日目で、13年ぶりに番付を十両に下げた38歳の豪風(尾車)が勝ち越しを決め、夏場所(5月13日初日・両国国技館)で昭和以降2位の38歳10か月での年長再入幕を濃厚にした。

 この日は幕内の土俵で碧山(春日野)を突き落とし。「(同部屋の)栃ノ心の優勝でかなり刺激を受けている相手。勝ち越しが“お預け”になると覚悟していた」と警戒していたが、土俵際での逆転で8勝目をもぎ取った。

 初場所で負け越し。十両への陥落が確実となり「引退」の2文字を強く意識した。「現役続行への糸が切れた。自分と師匠(尾車親方)の間では進んでいた」と口に出さなくても現役を退く雰囲気だったという。

トレーニングだけは続けたが、部屋の稽古を長く休んだ。何日も自問自答を繰り返した。

 流れを変えたのは横綱・白鵬のひと言だった。2月の花相撲で「すっきりしたのか」と言葉をかけられ、土俵への執着心があることを見透かされた。

 久しぶりに稽古場に行くと尾車親方の「オッ」という言葉。「親方には『まだ続けていくんだな』という意味が含まれていた」と振り返る。

 残り5日。十両の土俵ではひときわ大きな声援が飛ぶ人気者だ。「お客さんあっての大相撲。自分たちには神様だと思っています。その神様を喜ばすために相撲をとるんです」。鮮やかな復活劇は感謝の気持ちが下支えしていた。

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