鶴竜、自己新初日から11連勝 4度目Vへ「もっと集中していく」

スポーツ報知
逸ノ城(右)を寄りきりで下し全勝を守った鶴竜(カメラ・能登谷 博明)

◆大相撲春場所11日目 ○鶴竜(寄り切り)逸ノ城●(21日・エディオンアリーナ大阪)

 唯一無敗の横綱・鶴竜が寄り切りで小結・逸ノ城の挑戦を退けた。低い立ち合いからの右四つで優位に立つと自己新記録となる初日からの11連勝をマーク。前頭6枚目・魁聖は、同3枚目・貴景勝がこの日から途中休場したため、幸運な3場所連続の不戦勝となり1差で追走する。大関・高安も関脇・栃ノ心を破って2敗を守った。

 鶴竜が“頭脳戦”でまた一歩、16年九州場所以来の優勝に近づいた。2敗の逸ノ城との立ち合い。低く頭からぶつかると即座に右を差して主導権を握った。幕内最重量215キロの巨体の圧力に屈することなく土俵際まで寄り切った。狙い通りの展開に「まわしを取って自分の形になった。(相手の)中に入って頭を上げないように。相変わらず重かったけど」と余裕すら漂わせての完勝だった。

 自己新となる初日からの11連勝。10連勝後にV逸した今年初場所など、過去3度つまずいた11日目の“鬼門”もついに突破した。右手薬指などに不安を抱えながらも、白星を重ねているのには理由がある。

 三役昇進の9年前から師匠の井筒親方(元関脇・逆鉾)に薦められて相撲ノートを始めた。対戦力士の感想、感触などを覚えておくために書き記す。現在は携帯電話のメモ機能を駆使。「あくまでも参考だが、こういうことがあったなと見返す」と分析に役立てた。将来的に「(データを)削除するよ」と鶴竜ノートを公開する予定はないが、その勤勉さが横綱の強さを支える。盤石の取り口に八角理事長(元横綱・北勝海)も「完璧」と称賛した。

 この日の横綱土俵入りでは観客席から「鶴竜、いい人!」と、かけ声が飛び交い館内は大盛り上がり。温厚で誠実な人柄もファンに浸透している。自身4度目の優勝は射程圏だが慢心はない。「まだまだ。もっと集中していく」と手綱を締めた。(小沼 春彦)

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