貴乃花親方改心「一兵卒としてゼロからスタート」告発状取り下げ

スポーツ報知
告発状を取り下げる意向を示した貴乃花親方

◆大相撲春場所13日目(23日・エディオンアリーナ大阪)

 貴乃花親方(45)=元横綱=が23日、元横綱・日馬富士関(33)の暴行問題を巡り、日本相撲協会の対応を問題視して9日に内閣府へ提出した告発状を取り下げる意向を明かした。弟子の十両・貴公俊(たかよしとし、20)が春場所8日目(18日)に付け人に暴行し、師匠として責任を痛感したことで方針転換。弟子の寛大な処分を求め、協会執行部との対立姿勢を改めて「ゼロに戻して一兵卒として協力する」と明かした。

 貴乃花親方はこの日朝、京都・宇治市内の部屋宿舎で告発状を取り下げる意向を報道陣に明かした。「弟子のことでこれだけ多大なご迷惑をかけたのは事実。師匠として不徳の致すところ。一兵卒として私もゼロから、ゼロに戻してスタートするように弁護士さんと協議していきたい」。監督責任を重く受け止め、対立していた協会に自ら歩み寄った。

 方針転換のきっかけは弟子の不祥事だった。9日目から謹慎休場し、関取の立場ながらちゃんこ番で反省する貴公俊の様子を聞かれると、「なんとかやっています。食器を洗ったりとか」。新弟子が担当する初歩の皿洗いで出直す姿を報告。その後、本場所の会場に姿を見せた貴乃花親方は、29日の相撲協会理事会で協議される貴公俊の処分について、「まだ20歳と将来のある身。寛大な措置をお願いしたい」と引退でもおかしくないまな弟子の“減刑”を懇願した。

 この日は協会執行部へ告発取り下げを伝えていないが、弁護士には午前中に連絡。弁護士は「彼の考えをよく聞いて、対応していきたい。プラスの点があるなら(取り下げの)方向へ進むのでは」と述べた。告発状を受理した内閣府の公益認定等委員会の担当者によると、取り下げに支障はなく関係者の聴取にも着手していないという。

 元日馬富士関の暴行問題から続いた威圧的な雰囲気は、弟子の不祥事以降一変した。無断欠勤から始まった役員室への“出勤”も、この日は今場所最も遅い午後5時21分まで滞在した。「一連の私の行動で弟子たちに影響を及ぼしたのは間違いない。協会の皆さんと努力してまいります」と話し、対立しないということかと問われ「はい」と答えた。弟子を守るために“貴の乱”は一気に収束へと向かい出した。

 ◆貴乃花親方に聞く
 ―告発状は取り下げるか。
 「師弟ともども、ゼロに戻してスタートする気持ち。ゼロに戻して貴公俊を含めてやっていくということです」
 ―告発状では協会のやり方に納得しなかったのでは。
 「ゼロにします。はい」
 ―弁護士には伝えたか。
 「はい。取り下げという言葉を使っていいかはわからないですが、私の意思です」
 ―考えを変えたのは。
 「自分の弟子のことで協会に多大なご迷惑をおかけしたのは事実です。協会の皆さんと協力していけるように努力してまいります」
 ―親方にも処分もあるのでは。
 「私はもう一兵卒として出直す気持ちでおります」
 ―ゼロにする決断は。
 「貴公俊に今後の相撲道を歩ませたい思いです」

 ◆貴乃花親方の告発状 弟子の十両・貴ノ岩が元横綱・日馬富士関から暴行被害を受けた問題で日本相撲協会の対応に問題があったとして、今月9日に内閣府へ告発状を提出したと公表。協会の調査を「公正中立とは到底言えない」、自身の理事解任を「正当な理由のない行為」などと批判し、立ち入り検査を求めた。内閣府は9日付で受理し、協会に対して事情を聞く方針も示していた。

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