遠藤、初三役当確!前頭筆頭で初の勝ち越し

スポーツ報知
千代丸(左)を引き落としで下し、勝ち越しを決めた遠藤(カメラ・能登谷 博明)

◆大相撲春場所13日目 ○遠藤(引き落とし)千代丸●(23日・エディオンアリーナ大阪)

 前頭筆頭・遠藤が、同5枚目・千代丸を下して8勝目を挙げた。相手の激しい突っ張りにも屈せず冷静な引き落としで4度目となる自己最高位の筆頭で初の勝ち越し。夏場所(5月13日初日・両国国技館)での新三役昇進に当確ランプがともった。結びで1敗を守った横綱・鶴竜は、14日目(24日)の大関・豪栄道戦に勝てば8場所ぶり4度目の優勝が決まる。

 強烈な張り手を食らっても、遠藤は前へ攻め続けた。何度も右前まわしを狙って千代丸をのけぞらせると、土俵際で引き落とした。過去3度、はね返された自己最高位の前頭筆頭で初の勝ち越し。表情ひとつ崩さず支度部屋に戻ると、じっと目を閉じ「目の前の相撲に集中した結果」と答えた。

 来場所の新三役昇進は決定的で、石川県出身では97年九州場所の出島(元大関)、栃乃洋(元関脇)以来となる。この日、故郷の石川・穴水町から父・吉樹さんが今場所初観戦。「(三役は)本人にとっては通過点だと思いますが、うれしい」と喜んだ。初場所12日目でも父が観戦した際に横綱・鶴竜から金星奪取。3年前の春場所で左膝に重傷を負い、その後に十両へ転落した苦労人が、家族の前で晴れ姿を披露した。

 追手風部屋の“もぐもぐタイム”も躍進を支える。テレビCMに出演する「永谷園のお茶づけ」に加え、春場所では宿舎を構える大阪・堺市の後援者から大量に激辛キムチが届いた。ともに食卓を囲む幕内・大栄翔は「キムチが関取衆の好物? そだねー」と明かした。

 今場所は高安、豪栄道の2大関も撃破。地力も備わってきた。八角理事長(元横綱・北勝海)は「立ち合いの馬力がもう少しあればもっと早くに(三役に)上がっていた。うまさは持っていたからね。これで精神的にも楽になるし常連になってくる」と今後の躍進に期待した。「また明日があるので、しっかり」と最後までクールに対応。27歳となった角界屈指の人気者がようやく充実の時を迎えつつある。(小沼 春彦)

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