貴乃花親方、委員格下げ さらに理事会で平年寄降格へ

スポーツ報知
会見で心境を話す貴乃花親方

 日本相撲協会が、貴乃花親方(45)=元横綱=に降格処分を下す方針を固めたことが28日、分かった。春場所序盤を無断欠勤し、8日目(18日)には弟子の十両・貴公俊(たかよしとし、20)が付け人を暴行した監督責任を問われ、29日の理事会で処分が検討される。28日には臨時年寄総会で協会と対立した姿勢を謝罪したが、契約解除を求める厳しい声も上がった。この日、2月の理事候補選挙で落選したことの慣例で、役員待遇委員から委員に1階級格下げとなったが、7階級で一番低い「年寄」に、2日連続で降格となる可能性もある。

 複数の関係者によると、協会幹部は貴乃花親方への処分案として、「降格」が妥当だと判断。29日の理事会前に、臨時年寄総会で挙がった意見などを勘案して最終的な確認を行うが、この日までに懲罰規定で3番目に重い罰則に落ち着いたという。2階級降格し、引退後に委員(待遇)でスタートする横綱経験者では前例のない、「年寄」格下げの可能性もある。「一兵卒、ゼロからやり直す」の言葉通り、再雇用者の参与を除いて最下位の“平年寄”からの再出発となる。

 この日、貴乃花親方は全親方対象の臨時年寄総会に出席。弟子の十両・貴ノ岩が被害者となった傷害事件を巡る協会の対応を問題視し、無断でテレビ出演し批判した上で内閣府に告発状を提出。11日の春場所初日から欠勤するなど物議を醸し、同僚である親方衆からも反発を食らった。「真実を追求しようとする気持ちが強く、かたくなな姿勢をとってしまった。協会に多大なご迷惑をおかけした」と謝罪し、告発状もこの日に取り下げたと報告した。

 約2時間の総会では厳しい意見が飛んだ。協会と結んだ業務委託契約に反するものが6、7点該当しているとして、解雇に相当する「契約解除すべき」や「謝罪はしても『私が間違っていた』とは言っていない」のほか、「形に残るものが必要」と、協会批判をしないという誓約書を取れとの声も出た。ほぼ孤立無援の貴乃花親方は、「すみません。心を入れ替えて頑張ります」と、頭を下げ続けたという。

 年寄会会長の錦戸親方(元関脇・水戸泉)は、「真摯(しんし)に答え、反省の色が見えた」と厳罰を求める意見書提出は見送り、「(処分は)執行部にお任せします」とした。一方で、「行動で判断するしかない。相撲界には大事な方。ただ、このままでは組織としてチームワーク、発展性がない」とも。角界を混乱させた“貴の乱”。29日の理事会で、ついに審判が下る。

 ◆貴親方に聞く

 ―これまで協会と対立してきた気持ちに、どう変化があったのか。

 「やはり貴公俊の(暴行問題の)ことでございまして、監督責任は十分に私にある。私の行動から襟を正していかなければ、という思いです」

 ―29日の理事会で師弟への厳しい処分も検討されるが。

 「理事会の処分を厳粛に受け止めます」

 ―内閣府へ告発状を提出して取り下げた。貴乃花親方の考えは間違っていたのか。

 「いや、あの、これから微力ながら協会の一員としてやっていかなければならない。弟子の監督責任を全うしていかなければいけない。そういう思いです」

 ―相撲ファンに対して。

 「一連の行動でご心配、ご迷惑をおかけしたことを深くおわび申し上げます。深く反省し職責を担って精進していきます」

 ◆「人気ある」と審判部に復帰

 委員に下がった階級とは別に、貴乃花親方の新たな職務は「審判部・指導普及部」となった。土俵下で勝負を見届ける審判は2004年から6年間務めており、「以前にも経験させていただいている。新たな気持ちで職務に向かう」と抱負。配置した理由を、八角理事長(元横綱・北勝海)は「人気がある。ぜひ、お客さんの前での仕事ぶりを見てほしい」と説明。華やかな舞台で再出発することになる。

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