貴乃花親方「貴乃花一門」返上を申し出 けじめつけ再出発の表れか

スポーツ報知
「貴乃花一門」の返上を申し出た貴乃花親方

 大相撲の貴乃花親方(45)=元横綱=が、自らの年寄名を冠した「貴乃花一門」の名称返上を、一門の親方に申し出たことが18日、分かった。春場所中に弟子の十両・貴公俊(たかよしとし、20)の暴行の監督責任などを問われ、7つある親方の階級で一番下の「年寄」へと降格。相撲協会関係者によると今月上旬に申し入れ、「貴乃花」の看板を外すことを了承されたという。形態などの最終判断は八角理事長(元横綱・北勝海)に委ねる方針。

 協会関係者によると、貴乃花親方は一門の親方衆に「貴乃花」の看板を外すことを申し入れ、了承を得ているという。一門のある親方は、「『貴乃花一門の名を降ろしていただきたい』という申し出があったことは事実です。一親方として再出発する決意の表れでしょう」と明かした。

 元横綱・日馬富士関による弟子・貴ノ岩への暴行問題から続いた協会への反発的な態度が、結果的に貴公俊の暴行事件に影響したと猛省。事件を謝罪した際の「ゼロからやり直す。一兵卒としてやっていく」の言葉通り、一門名返上で再出発する心境の表れと言える。

 2月の相撲協会の理事候補選挙では、貴乃花親方は得票2で落選。一門からは阿武松親方(元関脇・益荒雄)が初当選して理事となっており、一門の代表として理事会で意見を主張する役割から離れていた。それでも、一門の親方は「仲間としての結束は変わらない。今回も『貴乃花』という名を取り上げたわけではなく、申し入れがあった形」と説明。現在の貴乃花一門は理事選を経て協会執行部とは協調姿勢。返上後の名称などは今後、一門内で話し合い、最終的には八角理事長に結論を委ねるという。

 貴乃花一門は2014年に、「グループ」から協会から助成金が出る「一門」へと格上げされた。他の一門では12年に立浪一門(当時)から立浪親方(元小結・旭豊)が貴乃花グループへと合流。この移籍によって、残された元横綱・旭富士の伊勢ケ浜親方が一門名を代表する「伊勢ケ浜一門」へと変わった例がある。

 春場所では初日からの無断欠勤など、問題行動を起こしていた貴乃花親方だが、8日目に貴公俊の付け人への暴行が発覚して以降は、弟子をかばい謝罪を続けていた。春場所後には監督責任などを問題視され、「委員」から7つある親方の階級で一番下の「年寄」へと2階級降格。協会内外の信頼回復のために、自らの“看板”を降ろすことで再スタートへの一歩を踏み出す。

 ◆一門とは 相撲部屋の系統で分かれた、派閥に近い組織で現在は6つある。冠婚葬祭で協力し、輩出する理事の人数で協会内での発言力にも影響する。昔は一門ごとに巡業を行い収益を分配するなど、固い結束があり「家族」と呼ぶ親方もいる。横綱土俵入りで太刀持ち、露払いは同じ一門の幕内力士が務めることが慣例。

 ◆貴乃花一門 2010年に当時、二所ノ関一門に所属していた貴乃花親方が改革を訴えて一門を離脱。理事選に出馬して初当選し、阿武松親方ら4部屋6人の親方と「貴乃花グループ」を結成した。12年には立浪親方も合流。14年に一門として承認された。現在では5部屋8人の親方で構成される。2月の理事選では時津風一門を離脱し無所属となった錣山(しころやま)親方(元関脇・寺尾)ら3人が同一門を支持した。

スポーツ

×