稀勢の里、稽古総見3勝5敗で暗雲…北の富士氏「出るのか、あれで。無理だろ」

スポーツ報知
稽古総見で鶴竜(右)に押される稀勢の里(カメラ・能登谷博明)

 大相撲の横綱・稀勢の里(31)=田子ノ浦=の夏場所(13日初日・両国国技館)出場に暗雲が漂ってきた。3日、両国国技館で横綱審議委員会(横審)の稽古総見に参加したが、三役以上の申し合いで精彩を欠いて3勝5敗だった。年6場所制(1958年)以降ではワースト2位タイの6場所連続休場中。次に出場する場所で進退をかけると公言しているが、復活を期待するには、ほど遠い仕上がりを露呈してしまった。

 稀勢の里は関脇・栃ノ心(春日野)に2回続けて寄り切られると、鶴竜(井筒)との横綱対決も1勝3敗。負けて「あー」と絶叫した姿に呼応し、ため息を漏らした観客からは、最後には「もう一丁やれ!」のゲキが飛ぶほどだった。

 連続休場が7になることも容認している横審の北村正任委員長(77)は、「あれだけやったんだから出てくるでしょう。下に取りこぼさなければ、そこそこはいける」としたが、逆の見方のほうが大多数。元横綱で相撲解説者の北の富士勝昭氏もその一人だった。

 「出るのか、あれで。あれでは無理だろ。番数にしたって内容にしたって。全然良くなってないんじゃないの」と切り捨てた。故障を繰り返して休場を繰り返してきたことにも、「休場慣れしているとダメだな。俺らも休んでも2場所。3場所になると不安で休んでいられなかったね」と悪循環を指摘。春場所を全休して春巡業は途中から参加したが、10番程度の稽古量だったことにも疑問を呈した。

 稀勢の里は「次は覚悟を決めて」と今度本場所に出るときは進退をかけることを明言。北の富士氏は、「いずれ腹をくくるときが来るんだろうけど、長引いてもいけないし」と心中を推し量った。横綱本人は「一番力が出る状態でしっかりと体を作っていきたい。だいぶ力が伝わってきた部分はある」と前を向いた。決断の猶予はあと1週間。この日直面した現実を踏まえ、決断を下す。(網野 大一郎)

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