栃ノ心、全勝キープで白鵬と激突…過去25連敗中“黒歴史”消す

スポーツ報知
11連勝した栃ノ心は、番傘をさして引き揚げた(カメラ・能登谷 博明)

◆大相撲 夏場所11日目 ○栃ノ心(上手投げ)琴奨菊●(23日・両国国技館)

 大関昇進を決定的にした関脇・栃ノ心が、過去7勝24敗の前頭5枚目・琴奨菊を上手投げで下して全勝をキープ。1敗で追走する横綱・白鵬と12日目に直接対決する。白鵬戦は同一取組の連敗記録でワースト4位の25連敗中だが、昇進前に“黒歴史”に終止符を打つ。初の連続優勝に挑む横綱・鶴竜も1敗をキープ。2敗が消え優勝争いはほぼ3人に絞られた。再出場した十両・照ノ富士は5敗6休となり幕下陥落が濃厚となった。

 左上手を取ったら負けない。“次期大関”の栃ノ心が、元大関の琴奨菊を豪快にぶん投げた。立ち合いで、がぶり寄られても慌てない。「ちょっと迷ったけど、うまく(上手を)取れたからね」。右を差して体勢を立て直すと、一気に左腕を伸ばした。10日目の2ケタ白星到達で昇進を濃厚にした勢いは衰え知らずだった。

 初日からの11連勝で関脇が単独トップを守るのは、2006年春場所の白鵬以来となった。自身2度目の賜杯も現実味を帯びてきたが、12日目に待ち構えるのは、その横綱だ。

 08年九州場所での初顔合わせから25戦全敗。データ上は圧倒的に不利だが、初場所の初Vから巻き起こる「栃ノ心フィーバー」以降の対戦はない。「楽しみ。気合を入れてやるだけ」と不安はない。

 師匠の春日野親方(元関脇・栃乃和歌)も武蔵丸(元横綱)に23連敗を経験しており「どうして弟子も同じような記録を作っちゃうのかな」と嘆いたこともある。大関取りに続く恩返しを視野に入れた栃ノ心は、支度部屋で息を整えながら「大事なもの? 気持ち。やってやるっていうね」と一気にペットボトルの水を飲み干した。(小沼 春彦)

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