栃ノ心、25戦全敗からついに白鵬撃破!力でねじ伏せ「最高」

スポーツ報知
白鵬(左)を寄り切り全勝を守った栃ノ心(カメラ・橋口 真)

◆大相撲 夏場所12日目 ○栃ノ心(寄り切り)白鵬●(24日・両国国技館)

 関脇・栃ノ心が大きな壁を越えた。

 結びで過去0勝25敗の横綱・白鵬を右四つがっぷりの体勢から寄り切り。関脇での初日からの12連勝は05年秋場所の琴欧州(後の琴欧洲、現鳴戸親方)以来。最強横綱を初撃破したことで、関心は大関取りから2回目の賜杯へ格上げされた。大関に上がる前の優勝2回なら貴乃花(現親方)以来の快挙だ。白鵬は2敗に後退。横綱・鶴竜は1敗を守り、自身初の連続優勝へ望みをつないだ。

 今場所最強を証明するにふさわしい結びの40秒間だった。“次期大関”の栃ノ心が力で白鵬をねじ伏せた。立ち合いから右四つがっぷり。生命線の左上手は、相手に切られるのを警戒して浅めに握った。土俵際まで追い詰めると、最後は歯を食いしばって寄り切った。

 館内に座布団が舞った。汗か、涙か、両目は充血していた。「最高でした。気持ちいいね。泣いてないよ。まだ早いよ」。対白鵬26戦目で初めてもぎ取った白星は格別だった。圧巻の力相撲に、八角理事長(元横綱・北勝海)は「(白鵬は)立ち合いに何もできなかった。こういう負け方は初めて見た」と驚いた。

 初日から唯一の12連勝で、初場所以来の賜杯も視野に入った。大関昇進前に2度目の優勝なら、平成の大横綱・貴乃花(92年初・前頭2、同秋・小結)以来。今場所から審判に復帰した貴乃花親方も「地力がある。四つ相撲がしっかりしていますね」と後輩をたたえた。

 直近3場所で36勝目。もはや昇進目安(33勝)を誰も論じない。藤島審判長(元大関・武双山)は「大関取りというか、きょうは横綱相撲」。師匠・春日野親方(元関脇・栃乃和歌)に至っては「(昇進の口上は)ちゃんとしゃべれるかな。教えなければいけないね」と、はやる気持ちを抑えきれなかった。

 場所後の6月には、新大関としてジョージアへ一時帰国する。母国で暮らすニノ夫人と、昨年11月に誕生した長女・アナスタシアちゃんとの初対面が待ち遠しい。マルグヴェラシヴィリ大統領も面会を熱望しており、国を挙げて英雄を待っている。「まだ3日残っている。明日からまた気合を入れて」。もう怖いものはない。V争いをこのまま突っ走る。(小沼 春彦)

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