矢後、バースデー白星だ「24歳自分で祝いたい」

スポーツ報知
1日早い誕生日ケーキを手に笑顔の矢後

 大相撲の西十両8枚目の矢後=尾車=が2場所連続勝ち越しを目指して名古屋場所(ドルフィンズアリーナ)に挑む。初日の8日は24歳の誕生日。7日の稽古後、愛知・瀬戸市の尾車部屋で「自分で自分を祝いたい」とバースデー白星を宣言した。名古屋は昨年、7戦全勝で幕下優勝を飾り、初土俵から2場所目で新十両昇進を決めた“ゲンのいい”場所。好成績を残して地元で開催される帯広巡業(8月18日)凱旋する。

 誕生日と初日が同じ7月8日。白いケーキを見つめながら矢後が決意を固めた。「24歳。去年もこのタイミング(で初日)だった。やっぱり自分で自分を祝いたいですね」。勝ち星を贈りたいのは自分自身だと言い聞かせると、元アマ横綱の気合は自然と高まった。

 昨年秋場所で新十両に昇進。今場所は関取として臨む5度目の場所(今年初場所は東幕下筆頭)は培ってきた力が試される。先場所は初日から7連勝。終盤失速したが9勝6敗と十両で初めて勝ち越しに成功した。「自分の中では自信になる。だけど、たまたまと思われないよう、今場所の15日間を戦いたい」。十両での戦績は過去4場所で30勝30敗の五分。白星を重ねることが成長の証しになるからこそ、連続で勝ち越すことに価値がある。

 発奮材料もある。8月18日には地元・帯広市で夏巡業が行われる。例年、北海道の巡業は幕内中心が恒例だが、ご当所力士は話が別。昨年も旭川市出身の旭大星(友綱)が当時、十両ながら帯同した。「先場所も(幕下優勝した)1年前も忘れて地道に頑張る。それで勝って帰りたい。そうすれば地元の人が喜んでくれると思う」と過去の成功体験はまず封印。道産子の星は無心で真夏の土俵に上がる。(網野 大一郎)

 ◆矢後アラカルト

 ▽生年月日 1994年7月8日、北海道・芽室町出身。24歳。

 ▽サイズ 187センチ、172キロ

 ▽しこ名 十両昇進を機に尾車部屋伝統の「風」をつけたしこ名に改める予定も、「まだ早い。ヤゴがトンボになってからでいい」と師匠の尾車親方(元大関・琴風)が見送った。本人も「矢後を覚えてもらえれば両親への恩返しになる」

 ▽目標 同じ二所ノ関一門の横綱・稀勢の里(田子ノ浦)が目標。「同じ左四つですし、力強い相撲に憧れます」

 ▽教習所 入門2場所目で新十両。通常は半年通う相撲教習所を1期(2か月)残して繰り上げ卒業。現行制度では3期の履修は必須で初のケース。

 ▽秘蔵っ子 協会NO2(事業部長)の尾車親方は本場所中は役員室にいるが、矢後の取組だけは花道で直接見守る。

スポーツ

×