【尾車親方の目】稀勢の里「左」こだわり続けた執念の白星

スポーツ報知
豊山を土俵際に追い込む稀勢の里(奥)

◆大相撲秋場所3日目 ○稀勢の里(突き落とし)豊山●(11日・両国国技館)

 左にこだわり続けた執念が、稀勢の里の逆転の突き落としにつながった。立ち合いから豊山の突っ張りを下からあてがい、愚直に左を入れようと動いた。それが最後の距離感になった。

 一度は左を差して右上手を取った。その上手も豊山に振られた時に切れてしまった。自分で切ったのか、それとも切られてしまったのかは判断できないが、もし切られてしまったのなら、右の握力が弱くなってしまったからか。それも8場所連続休場の影響といえる。そういう状況の中でも白星を積み重ねた。執念というしかないだろう。

 本来なら横綱として伸び盛りの若手を簡単に料理しないといけない。だからこそ横綱なのである。勝負を懸けた今場所は初日こそ勢を圧倒したが、2日目と3日目は苦戦。まあ、いい薬を飲んだと思えば動き、強さも戻ってくる。一つずつハードルを越えればいい。(スポーツ報知評論家)

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