【尾車親方の目】稀勢の里「左差し」こだわり墓穴

スポーツ報知
御嶽海に押し出しで敗れた稀勢の里(左)

◆大相撲初場所初日 ○御嶽海(押し出し)稀勢の里●(13日・両国国技館)

 稀勢の里の左差しは“根拠のない安全策”といえる。どうして左差しにこだわるのか。その意識の集中が全てを台無しにした。何も出来ず、苦し紛れの左からの突き落としで墓穴を掘り、最後は御嶽海のハズ押しで力なく土俵を割った。

 貴景勝と対戦した場所前の二所ノ関一門の連合稽古では、左を差してもすぐに突き放して前に出た。負けが込んでいた時の相撲からやっと抜け出した印象を受けたが、本場所で悪い相撲が顔を出した。左を無理やりねじ込もうとすると左肩が浮く。この体勢では右が遠く、相手の左腕を抱え込むだけになる。左差しではなく、むしろ右上手を取ろうとすれば違う局面になっていたかもしれない。

 相手をはじく立ち合いと突っ張りがない。立ち合いから先手を取れば有利な体勢を作れる。前に出る気持ちも欠けている。稀勢の里は、前に出て横綱まで上り詰めた力士ではないか。前に出て、前に落ちても一向に構わない。持ち前の攻めの相撲を思い出してほしい。2日目は巨漢・逸ノ城が相手。自分の体を生かして前に出れば、逸ノ城の体も必ず浮いてくる。守勢に回ってはダメだ。(スポーツ報知評論家)

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