本田真凜6・94差6位、史上最大の逆転へ「全て出す」

◆フィギュアスケート全日本選手権第1日▽女子SP(21日、武蔵野の森総合スポーツプラザ)
女子ショートプログラム(SP)は、坂本花織(17)=シスメックス=が国際スケート連盟(ISU)非公認ながら自己ベストを4・19点上回る73・59点をマークし首位発進。平昌五輪代表2枠を巡る争いに割って入った。本田真凜(16)=大阪・関大高=は66・65点の6位と出遅れ、4連覇が懸かる宮原知子(19)=関大=は73・23点で2位。女子フリーは23日に行われる。
演技が終わり深呼吸で息を整えると、真凜は笑顔を作った。約6000人の観衆が見つめる中でも「緊張しなかった。たくさんの人の前で滑ることが好きで、夢が1つかなった」と五輪選考会を心から楽しんだ。美しいピアノ旋律の曲「ザ・ギビング」に乗せ、3回転のフリップ―トウループの連続ジャンプを滑らかに決めたが、3回転ループの着氷でリンクに手をついた。この1つのミスが響き6位。「やりきったけど、悔いの残る演技にはなった」。約2週間前から繰り返しSPの夢を見続け「今日が10回目くらい(笑い)」とイメージは完璧だったが、ノーミスとはいかなかった。
最高の衣装で、五輪代表2枠を争う戦いの舞台に立った。紫の新衣装は初めて自分でデザインし、生地もこだわり抜いた勝負服だ。「ピンクは卒業しようと思って。背中にさりげなく金色の鳥がいるんです」。20日の公式練習でお披露目し「羽ばたけるように頑張ります」と平昌五輪に降り立つように願いを込めた。
4年前にはソチ五輪の代表選考会を生観戦したが、今は自分が挑戦する立場。今季のGPシリーズで2戦とも5位だったため、五輪出場には今大会での優勝が求められる。現行方式での最大逆転は2・82点差で4位以下からの逆転Vはない。首位とは6・94点差あり、データ上では追い込まれた。それでも「SPの悔しさをぶつける(フリーという)場所がある。今まで経験したことを全て出す。巻き返すって強い気持ち」と奇跡の大逆転Vを諦めていない。(小林 玲花)
◆全日本選手権で女子の最大差逆転は2.82点
現行の採点方式になった2004年から昨年までの13年間で逆転優勝は8度。04年に安藤美姫が3位から逆転したことがあるが、4位以下はない。最大差逆転は13年の鈴木明子で、70.19点の2位から73.01点だった浅田真央との2.82点差を逆転し優勝。04年大会の安藤はSP終了時で首位の荒川静香と4.45点差だったが、荒川はフリーを棄権した。