宮原知子、真央に並んだ逆転V4!初五輪内定

スポーツ報知
女子フリーの演技後、笑顔でガッツポーズを見せた宮原知子(カメラ・酒井 悠一)

◆フィギュアスケート全日本選手権第3日▽女子フリー(23日、武蔵野の森総合スポーツプラザ)

 女子フリーを行い、ショートプログラム(SP)2位の宮原知子(19)=関大=が、逆転優勝で悲願の五輪切符をつかんだ。

 フリーで147・16点をマーク。国際スケート連盟(ISU)非公認ながら自身が持つ国内歴代最高を上回る220・39点で浅田真央以来の4連覇を達成。平昌五輪代表の残る1枠は、24日の大会終了後に行われる選考委員会で決まる。2位に入った坂本花織(17)=シスメックス=と、4位の樋口新葉(16)=日本橋女学館高=との一騎打ちが濃厚となった。

 控えめな宮原が珍しく両手を突き上げた。平昌へのガッツポーズだ。「ここでやるしかないって。思わず出ちゃいました」。逆転4連覇でつかみとった初五輪。すぐに目には涙があふれた。「目標にしていた舞台。まだ想像もつかないし実感も湧かないけど、すごくワクワクしている」。喜怒哀楽をめったに表に出さない女王のうれし涙だった。

 SPの3回転ルッツで回転不足を取られたことが悔しかった。「納得いく演技ができなくて。せっかくここまで頑張ってきて、こんなところでウロウロしていられない。フリーは絶対に五輪に行きたいという気持ちで臨んだ」。強い覚悟でリンクに立った。後半のルッツからの3連続ジャンプは、着氷でつまりながらも跳びきり「根性で踏ん張りました」。ISU非公認ながら220・39点は今季世界3位に相当する高得点だ。

 2月上旬に左股関節の疲労骨折で全治4週間の診断を受けた。母・裕子さんが「スケート以前に、歩けなくなるのではないかと心配した」ほどの状態だった。痛みがとれず3月の世界選手権は欠場、氷に上がったのは5月だった。ジャンプ練習再開は10月。浜田美栄コーチから「5年後を目指そうか。25歳でも五輪は行けるよ」と声をかけられたこともあったが、ぶれることはなかった。

 3月下旬から1か月、都内のJISS(国立スポーツ科学センター)に泊まり込んでリハビリに集中した。他競技の選手と知り合い励まし合った。親しくなったレスリングのリオ五輪金メダリストの登坂絵莉(24)=写真=は「リハビリ中もいいかげんな人はいいかげんだけど、宮原さんは違った。ただ黙々とやっていて。芯が強くて内に熱いものを感じた」。五輪女王も驚く強さでやり抜いた。

 練習の虫にとっては、とてつもなく、もどかしい日々。順調なスタートではなかったが、腐ることなく、ひたむきに取り組み結果を出してきた。11月のNHK杯で約11か月ぶりに実戦復帰、復帰2戦目のスケートアメリカで優勝。着実に復活ロードを歩んできたシーズンのハイライトは1か月半後だ。「楽しみでしかたない」と目を輝かせる大舞台へ。努力は宮原を裏切らなかった。(高木 恵)

 ◆全日本選手権での女子の4連覇

 過去に上野純子(56~59年)、山下一美(68~71年)、浅田真央(06~09年)が達成。5連覇は稲田悦子(36~40年)、福原美和(61~65年)。最多は8連覇で渡部絵美(72~79年)と伊藤みどり(85~92年)が成し遂げた。

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