シニア1年目坂本花織が女子2人目切符「自分らしく全力で」

スポーツ報知
フィギュアスケート平昌冬季五輪代表に選ばれ笑顔でポーズを決める選手たち(カメラ・酒井 悠一)

◆フィギュアスケート全日本選手権 最終日(24日、武蔵野の森総合スポーツプラザ)

 競技終了後に平昌五輪代表が発表され、3枠の男子は五輪2連覇に挑む羽生結弦(23)=ANA=と昨季世界選手権2位の宇野昌磨(20)=トヨタ自動車=の二枚看板が順当に選ばれた。2枠の女子は全日本選手権を4連覇した宮原知子(19)=関大=と2位の坂本花織(17)=シスメックス=が、ともに初の五輪に挑む。宇野は全日本選手権を合計283・30点で2連覇し、初の五輪代表に決定。男子の3人目は2位の田中刑事(23)=倉敷芸術科学大大学院=が選ばれた。

 1か月前まで代表争いの圏外にいた17歳が、平昌切符の最後の1枚を手にした。名前を呼ばれると、坂本は満面の笑みでリンクに上がった。「今はもう、うれしい気持ちでいっぱい。全力で頑張ります。緊張すると思うけど、自分らしく勢いある演技をしたい」。祝福の大歓声に包まれた。

 11月のスケートアメリカで自己ベストの210・59点を出して2位に入り、一気に自信を深めた。ぼんやりとしか意識できなかった五輪の輪郭が、はっきり見えてきた。今大会はSPで首位に立ち、フリーは重圧がかかる最終滑走で結果を出した。

 シニア1年目。豪快なジャンプが持ち味だ。1992年アルベールビル五輪銀メダルで、女子で世界で初めて3回転半ジャンプに成功した伊藤みどりに憧れる。「こんなふうに跳べたら、たくさん加点がもらえるなあ」と動画を繰り返し見た。教え子を初めて五輪に送り出す中野園子コーチは「あの花織がオリンピックですよ。オリンピックのオの字もなかったのに。五輪まではできるだけ、いろんなものを磨きたい。1グラムでも軽く、1点でも多く狙いたい」と期待を隠さない。

 3歳でNHK連続テレビ小説「てるてる家族」を見てフィギュアに憧れ、4歳でスケート靴を履いた。「氷の上に立てたことがうれしくて。滑れるのが楽しいし、こけても笑っていた」。すぐにのめり込んだ。印象に残っている五輪は14年ソチ大会。13歳だった少女は、フリーで3位と挽回した浅田真央と、金メダルを獲得した羽生結弦の演技に見入った。あれから4年。その舞台に立つ。(高木 恵)

 

 ◆新葉泣き崩れた

 女子の残り1枠を坂本との争いに敗れた樋口新葉(16)=日本橋女学館高=は、目を赤く腫らし「すみません」とだけ言い残して足早に会場を後にした。岡島功治コーチ(60)が「世界選手権の代表になれて良かったね」と声を掛けると泣き崩れたという。今季の世界ランキングなどでは坂本を上回っていたが、4位に終わった全日本でのミスが響いた。同コーチは「五輪に行かせてあげたかったが、代表を決める試合でミスしちゃいけない。まだ先があります」と気遣った。

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