小平奈緒、急死の大学同級生・住吉さんへ涙の決意「平昌の舞台でしっかり自分の力を発揮したい」

スポーツ報知
13年12月のソチ五輪代表選考会、女子1000メートルで優勝した小平(左)と2位の住吉

 平昌冬季五輪に出場する日本選手団の結団式が24日、東京・大田区総合体育館で開かれた。スピードスケート女子短距離で金メダル最有力の小平奈緒(31)=相沢病院=ら選手、役員95人が出席した。日本選手団の主将を務める小平は、信州大の同級生で、20日に死去した住吉都(すみよし・みやこ)さん(享年30)の思いを背負い、五輪で最高の滑りを見せることを誓った。

 小平は、住吉さんの明るい笑顔に何度も勇気づけられていた。信州大時代の同級生とのあまりに早すぎる別れ。「あの、大学…」と切り出すと、涙が止まらなかった。「4年間、一番近くで一緒にやってきた仲間がこういった形になってしまった。まだ信じられない思いがある。ものすごくスケートに一生懸命になる姿が頭から離れない。お互いに一番近くで高め合い、スケートを極めてこれた」。何度も言葉に詰まりながら、懸命に思いを語った。

 思い出は尽きない。信州大の入試では「これで大学受験落ちたら、人生決まっちゃう」。緊張でガチガチになっていた小平の背中を住吉さんが「やるしかないんだ」と押してくれた。入学後は松本のキャンパスから長野のリンクまで、毎日のように一緒に通った。2人を指導した結城匡啓コーチが「切磋琢磨(せっさたくま)してきた」と語るように、競技面でも高いレベルで刺激し合い、14年のソチ五輪では同じ500メートルと1000メートルでそろって出場を果たした。

 平昌五輪代表に決定後の年明け、一緒に食事をする機会があった。「何か私からスケートのことを学ぼうという気持ちで必死で。私の口から言えることもすごく少なかったけど、彼女はニコニコ笑って聞いてくれていた。『またスケート頑張ろう』とすごく前向きな話ができた」と振り返った。

 その直後の突然の訃報。ショックは大きかったが、前日の23日には住吉さんの両親の許可を得て、最後の別れを告げることができたという。住吉さんの家族からは「都の分まで、スケートを頑張って」と励まされた。「住吉の分の人生を私は生きることはできないですけど、何か苦しくなった時にすごく心の支えになってくれる。まず平昌の舞台でしっかり自分の力を発揮したい。そして、やっぱりスケートが好きな気持ちを皆さんに見ていただけたら」。平昌から天国の戦友に、金メダルへの最高の滑りと笑顔を届ける。(林 直史)

 ◆住吉都さんの急死 20日に長野市内の自室で死去したことを23日、所属先のローソンが発表。30歳だった。死因などは公表されていない。北海道・釧路市出身で信州大では小平と同級生でインカレ総合3連覇。初の五輪出場となった14年ソチ五輪は500メートル14位、1000メートル22位。昨年12月の平昌五輪代表選考会は500メートル18位、1000メートル16位で五輪切符を逃した。

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