宇野昌磨、平昌へ手応えの銀 4回転減らしてアゲてきた

スポーツ報知
宇野のフリー得点内訳

◆フィギュアスケート 四大陸選手権 最終日(27日、台湾・台北アリーナ)

 【台北(台湾)27日=高木恵】男子フリーが行われ、ショートプログラム(SP)首位の宇野昌磨(20)=トヨタ自動車=はフリー2位の197・45点、合計297・94点で2位に終わった。今季鬼門だった後半の4回転トウループを初めて2本そろえ、平昌五輪へ収穫も得た。SP3位の田中刑事(23)=倉敷芸術科学大大学院=は260・31点で4位。中国の金博洋が4本の4回転を成功させ200・78点をマークし、今季初の大台突破となる300・95点で逆転優勝。

 右手を上げたまま、膝から崩れ落ちた。宇野は笑っていた。今季初めて後半の4回転トウループを2本そろえて演技を終えた。「結果は自分の実力不足。自分が求めているものはもっと上だけど、後半のジャンプを久々にまとめることができたことがうれしかった」。最終滑走の金に逆転されたが、五輪を戦う新構成で収穫も手にすることができた。

 冒頭のループはきれいに降りたように見えたが、回転不足を取られた。続くフリップは転倒。ここで“宇野流”の切り替え術が光った。「2つは失敗の確率が高いジャンプ。フリップはじゃんけんで負けてしまったと思って切り替えた」。強い気持ちで鬼門の後半へ突入。4回転―2回転の連続トウループ、続く4回転トウループを次々と決めた。

 4種類5本の4回転を、今大会からサルコーを抜いた3種類4本に絞った。五輪を戦い抜くための決断だった。鍵に挙げたのはSP、フリー共に後半に跳ぶトウループ。練習での成功率は一番高いが、試合になると確率が落ちる。樋口美穂子コーチは「曲の中で疲れているところで跳べない。単発で跳べてもだめ。そこの調整が難しい」。全日本選手権後は曲かけ練習を増やし、後半を強化してきた。

 上半身がゴールドの金衣装を初披露。これまでの青から替えた意図を尋ねられ、打ち明けた。「多分(五輪の)フリーは青で滑ると思うので、この衣装は今回だけです」。ワックスで固めた新髪形も「やれって言われたからやりました。気に入っていません」。いつも通りの飾らない言葉に、周囲は笑いに包まれた。

 今季はGPファイナル、今大会と勝ちきれずに終わっている。主要国際大会初勝利は、またお預けとなった。「自分に自信をあまり持てていないのが一番の欠点。練習からできるようにしていきたい。この短期間でできることは、ジャンプの成功率と質を上げること」。本番に見据えるのは、あくまでも平昌五輪だ。

 ◆昌磨に聞く

 ―演技を振り返って。

 「フリップを失敗して焦る気持ちも少しはあったけど、後半は練習通りにできたのでよかった。ほっとした」

 ―自信は。

 「今季はいろんな失敗をして、自信をなくしてきた。去年は4回転フリップにすごく自信を持っていた。練習でだめでも試合で跳べるという根拠のない自信があった」

 ―SP後に「フリーは攻めたい」と言っていた。

 「ショートよりも強い気持ちを持って試合に臨んだ。ループは跳んだ感じでは(回転不足は)気がつかなかった。もっと力強く跳べば回るジャンプなので、そうしていきたい」

 ―最近の試合で続いていたモヤモヤ感は晴れたか。

 「今回が一番課題がない試合。もっと自分が求めているものは上だし、そこまで達成感はないが、後半のジャンプを跳べてほっとしている。自分に自信を持って、これまでやってきたことを続けていきたい」

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