山県亮太、スノボ鬼塚雅に五輪の心構え「金メダルはどうぞ先に取ってください」

スポーツ報知
山県からエールを送られた鬼塚雅

 2016年リオ五輪陸上男子400メートルリレー銀メダリストの山県亮太(25)=セイコーホールディングス=が、同じトレーナーの仲田健氏(48)から指導を受けるスノーボード女子代表の鬼塚雅(19)=星野リゾート=へ「特別な場所だからこそ、やることは特別じゃなくていい」と独特の表現で、五輪の心構えを伝えた。自身は東京五輪のリレーで頂点を目指すが、鬼塚には「金メダルはどうぞ先に取ってください」と期待している。

(構成・細野 友司)

 僕はリオで銀だったけど、雅ちゃんには、「金メダルはどうぞ先に取ってください」という感じ。僕はその分、2年後の東京五輪で頑張るつもりだから。

 スキーやスノーボード。冬季スポーツは好きなので、五輪の時期はテレビでよく見る。素人考えで、特にスノボは「ようやるな」と(笑い)。自分が得意じゃないからだと思うけど、分かりやすく“常人離れ”しているところが面白い。自分は(リレーメンバーの)4人で取った五輪メダルだけど、雅ちゃんは、ぜひ一人の力でメダルを取ってほしい。

 (仲田)健さんとトレーニングをやっていて、体つきが変わったのは間違いない。体重は当初より8~9キロも増えて、力強くなったと思う。スノーボードは板の上でバランスを取っていくスポーツなので僕らより体幹は大事なはず。雅ちゃんはまだ1年ほどだけど、自分も15年秋から始めて16年シーズンは良かったので、短期でも十分結果が出ると思う。

 五輪は、盛り上がりや雰囲気がすごい。僕の競技人生の中でも「いい雰囲気、盛り上がった試合って何だった?」って聞かれたら、それはロンドンかリオの五輪ということになる。特別な場所で“魔物が潜む”ともいわれるけど、その中ですることは特別じゃなくていい。普段通りを心がければ結果が出せるはずだ。

 スノーボードも100メートルも一発勝負。1本で力を出しきることについては、僕は2つ意識している。まずは伸び伸び走ること。1本で結果を出したいからこそ緊張するし不安にもなる。でも、それに縛られているとパフォーマンスが硬くなってしまうので、ある種の開き直りが必要。ミスしても「やれることはやったし、自分の実力」と受け入れるだけ。もちろん、ミスしてもいいとは言わないけど、それくらいの気持ちで臨むのが大事になる。

 もう一つは、ミスの連鎖を引き起こさないこと。10秒しかない100メートルのレースでも、100点のレースはできない。どこかで必ずちょっとしたミスをする。1つのミスで動揺せず、切り替えられるかどうか、が結果を左右する。「100点を目指さなくていい」という気持ちで臨めば、伸び伸びとやれる。リオで銀メダルを取った時は、ある程度開き直ってやれたと思う。

 雅ちゃんは大学に入ったばかりでキャピキャピして、大学は違うけどかわいい後輩。すごく社交的で色々話しかけてくれるし、親しみやすい。平昌で活躍してくれたら、チームメートやトレーニング仲間とお祝いの乾杯をしたい。未成年なので、ソフトドリンクで我慢してもらって(笑い)。

 ◆鬼塚 雅(おにつか・みやび)1998年10月12日、熊本市生まれ。19歳。5歳の頃、福岡県内の室内練習場で競技を始める。ルーテル学院高1年だった15年1月の世界選手権スロープスタイルで16歳3か月の史上最年少優勝。17年世界選手権は同種目銅メダル。同年4月から早大進学。158センチ、47キロ。

 ◆鬼塚の出場試合とメダル争い スロープスタイル(SS)とビッグエア(BA)の2種目に出場。SSは11日午後1時30分から予選、12日午前10時から決勝。BAは19日午前9時30分から予選、23日午前10時に決勝が行われる。鬼塚は今季W杯SSではカードローナ大会で2位、BAでも北京、メンヘングラッドバッハの両大会で2位に入っており、両種目での表彰台を目指す。海外勢ではBAで17年世界選手権金メダルのA・ガサー(オーストリア)らが有力。

 ◆山県 亮太(やまがた・りょうた)1992年6月10日、広島市生まれ。25歳。鈴が峰小4年から陸上を始め、修道高(広島)時代の09年世界ユース選手権100メートル4位。11年に慶大へ進学。12年ロンドン五輪予選で10秒07を記録し準決勝進出。15年セイコーホールディングス入社。16年リオ五輪400メートルリレーは第1走者で銀メダルに貢献。100メートル自己記録は日本歴代2位タイの10秒00(17年)。177センチ、68キロ。

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