兄弟で初五輪の小林潤志郎&陵侑、飛躍のカギは「褒めて育てる」…父・宏典さん語る

スポーツ報知

 平昌五輪は9日の開会式に先立ち、8日から一部競技がスタート。日本勢はノルディックスキー男子ジャンプノーマルヒル予選(午後8時半開始)から選手が登場する。昨年11月のW杯ビスワ(ポーランド)大会で初優勝した岩手・八幡平市出身の小林潤志郎(26)=雪印メグミルク=と、陵侑(りょうゆう、21)=土屋ホーム=が兄弟で初出場を果たす。父・宏典さん(53)は褒めて育てて、五輪代表へと飛躍させた。

 一家で追いかけてきた五輪に、息子2人が同時に出場する。中学校教員の傍ら、幼い頃の小林兄弟にスキーを指導してきた父・宏典さんは「日本のトップを目指すことを応援してきた。でも世界のトップまでは想像していなかった。このようにチャンスをいただけて感謝しかない」と語った。

 妹の諭果(ゆか、23)=CHINTAI=、末弟の龍尚(たつなお、16)=盛岡中央高=も含め、きょうだい4人そろって国内トップレベルの選手。岩手県では、男子は高校まで複合の選手として強化するため、2人がジャンプに専念したのは高校を卒業してからだ。

 潤志郎は小学1年生の頃からジャンプ選手に憧れを抱いていたという。「ある大会で中学生のジャンプを見て『あれがやりたい』と目を輝かせていました。小学4年生までジャンプは始められませんでしたが、1、2月になると放映されるジャンプの映像は食い入るように見ていました」。潤志郎が複合選手として活躍を始めると、きょうだいたちも続いた。生活の軸の一つにはスキーがあった。

 中学校でスキー部の顧問も務め、田山中では複合代表の永井秀昭(34)=岐阜日野自動車=も指導していた宏典さんは「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」という昭和の連合艦隊司令長官・山本五十六の言葉を信条に、子供たちも「褒めて育てる」ことを心掛けてきた。

 家ではマッサージや一緒に遊ぶことでスキンシップをし、必要なスキー道具は買いそろえた。その代わり、ゲームは買わないなど、我慢の大切さを染みこませた。

 代表決定後、2人とは話をしていない。「支えてくれた皆さんに感謝して、まずは自分に集中して楽しんできてほしい。家族への報告は、すべてが終わってからでいいと思っていますから」。息子たちの大ジャンプで世界中が沸くことを静かに願っている。

 ◆ノルディックスキー男子ジャンプ競技日程

 ▽ノーマルヒル予選 8日午後9時30分~

 ▽同決勝 10日午後9時35分~

 ▽ラージヒル予選 16日午後9時30分~

 ▽同決勝 17日午後9時30分~

 ▽団体 19日午後9時30分~

 ◆小林 潤志郎(こばやし・じゅんしろう)1991年6月11日、岩手・八幡平市生まれ。26歳。雪印メグミルク所属。4歳からスキーを始め、ジャンプは柏台小4年から。盛岡中央高では08―09年複合代表でW杯出場。東海大北海道2年時からジャンプに専念。15年世界選手権団体ラージヒル4位。17年11月W杯ビスワ大会初優勝。168センチ、55キロ。

 ◆小林 陵侑(こばやし・りょうゆう)1996年11月8日、岩手・八幡平市生まれ。21歳。土屋ホーム所属。柏台小1年からジャンプを始め、松尾中3年の2012年全国中学大会でジャンプ、複合の2冠。盛岡中央高2年の14年に国体複合優勝。15年からジャンプに専念し、16年世界ジュニア選手権ノーマルヒル銅メダル。173センチ、60キロ。

スポーツ

×