沙羅、今季全敗ルンビ倒す!女王に接近1・5メートル差「目指しているのは金メダル」

スポーツ報知
公式練習を終え、笑顔で引き揚げる高梨沙羅(カメラ・相川 和寛)

 スキージャンプ女子で昨季W杯個人総合女王の高梨沙羅(21)=クラレ=が8日、個人ノーマルヒル決勝(12日)に向けて、試合会場での初練習に臨んだ。3回目に全体2位の106メートルを飛ぶなど、最終調整は順調に進んでいる様子。「まだ内容は満足いくものではない」と一発勝負の本戦まで調子を上げていく。今季個人総合首位のマーレン・ルンビ(23)=ノルウェー=も、1回目に最長不倒107・5メートルを飛ぶなど、金メダル候補の貫禄を示した。

 沙羅が、夕暮れの空に力強く舞い上がった。1回目にK点を1メートル上回る99メートルで4位。2回目は105メートル、3回目も106メートルと飛距離を伸ばし、ともに2位につけた。課題にしてきた踏み切りの力強さが、徐々に戻りつつある。「いよいよ始まったな、と。まずは良いスタートが切れた。少しずつ、台に合わせられている」。悲願の金メダルを争う態勢は確実に整いつつある。

 もちろん、ライバルも黙ってはいない。今季個人総合首位で最大のライバルとなるルンビ(ノルウェー)は、1回目に107・5メートルを飛ぶなど、全3回で首位に立った。公式練習には全35選手が参加。総合2位のアルトハウス(ドイツ)、17年世界選手権銀の伊藤有希(23)=土屋ホーム=、右膝手術から復活したソチ五輪銀のイラシュコ(オーストリア)もK点越えを連発した。壁が高いほど心は奮い立つ。「今季は(W杯未勝利で)悔しい思いもしてきた。(ライバルを)超えて結果を残したい」と力を込めた。

 沙羅は、韓国内で親しみを込めて「妖精」と呼ばれている。韓国メディア関係者は「有名な日本の選手? やっぱり小平(奈緒)と高梨」と断言。スピードスケートの絶対女王と二分する絶大な注目度を誇っているようだ。この日もボランティアから記念撮影をお願いされるシーンもあったが、気さくに応じて愛らしい笑顔を浮かべた。選手村では「辛い物が好きなので」と、キムチやご飯を食べてリラックス。この余裕が順調な仕上がりを裏付けている。

 9日は、ソチ五輪では参加しなかった開会式にも出席を希望。五輪の雰囲気を満喫しながら、12日の本戦へ闘志を研ぎ澄ませる。「緊張感もあるけど、目指しているのは金メダル。挑む気持ちで自分を高めたい」。ソチ4位で味わった悔しさ、支えてくれた周囲への感謝。4年分の思いをぶつける日が、刻々と近づいている。(細野 友司)

 ◆沙羅とルンビの飛距離 今季のW杯10戦は全てルンビの順位が上。純粋に飛距離だけで比較しても、沙羅は厳しい戦いだ。特に1月19~21日に山形・蔵王で行われた個人第7、8戦では大差がついた。第7戦ではルンビが101.5メートル、100メートルと大ジャンプを2本そろえたのに対し、沙羅は93.5メートル、93メートル。第8戦でもルンビが97メートル、101メートルで、沙羅は89メートル、91メートル。飛型点(ジャンプの美しさや着地)が加算されても飛距離の差が大きければ逆転も難しいだけに、距離で肉薄できたのは大きい。

スポーツ

×