小平奈緒は「僕らの誇り」所属先・相沢病院理事長が現地応援へ

スポーツ報知
小平奈緒を支援する相沢病院の相沢孝夫理事長

 スピードスケート女子500メートルで金メダルを狙う小平奈緒に強力援軍だ。これまで国内で応援してきた所属先の相沢病院・相沢孝夫理事長(70)が、18日の500メートルのレースを現地で観戦することが分かった。職員らによる応援団も4人から20人規模に増員される見込みだ。

 長年、支えてくれた所属先の声援が金メダルへの力になりそうだ。信州大を卒業する09年。「何とかならないでしょうか」。3月下旬になっても小平に就職先が見つからず、結城匡啓コーチが頼ったのは、けがの治療を受けた縁もあった相沢病院。小説「神様のカルテ」のモデルにもなった松本市の病院だ。小平の希望は「長野を拠点に卒業後も結城コーチの指導を受けたい」の一点だけだった。

 当時、相沢理事長は、そのささやかな望みをかなえられる企業がなかったことに驚いたという。「高給優遇はできないが、大卒の事務の人を雇用するぐらいの給料で我慢してもらえれば、1人ぐらいは何とか支援できる」。4月から「スポーツ障害予防治療科」の職員で採用が決まった。

 支援は職員としての給料と家賃など、年間1000万円以上。遠征費は連盟の強化費をあてるが「少しでもいいコンディションで試合ができるように」とビジネスクラスへのアップグレードの費用も出している。前回ソチ五輪後、小平がオランダ留学を希望した際には「海外留学」の形で滞在費を負担し、後押しした。

 昨年4月には新たに五輪に2度出場した石沢志穂さん(31)をアシスタントスタッフで採用した。小平から「すごく気も合うし、スポーツ栄養の勉強もしていて、そばにいると試合に集中できる。五輪もぜひそういう環境でやってみたい」との願いを受け、「せっかくいい記録を出して頑張りたいと言ってるんだから」と快諾した。

 小平は患者や職員にも人気者だ。「私の患者さんもファンになって、しょっちゅう手紙をやり取りしてますよ」(相沢理事長)。職員が人気デュオ・ゆずの楽屋を訪れ、ファンだった小平のためにCDにサインをもらい、プレゼントしたこともある。14日の試合も病院内で約180人の関係者が声援を送った。

 今でこそ「見る目がありましたね」「いい宣伝ですね」と言われることが多いが、相沢理事長は「患者さんは、スケート選手がいるから来るわけじゃない。ちゃんと治してもらえるかでしょ。僕は一生懸命頑張っている一人の女性を応援したいだけ」と笑う。現地で「僕らの誇り」と語る小平の笑顔を見る瞬間を楽しみにしている。(林 直史)

 ◆社会医療法人財団慈泉会「相沢病院」 1952年に長野・松本市で開設。長野県初の地域医療支援病院で、病床数は460床。職員数は医師141人、看護師543人を含む1776人。

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