菊池彩花、悠希、純礼 日本初3姉妹同時出場! 米は1日15合 両親が明かした奮闘子育て

スポーツ報知
練習後に笑顔で会見する菊池悠希(左)と菊池純礼姉妹(カメラ・酒井 悠一)

 熱戦が続く平昌五輪で、冬季大会で日本初の3姉妹同時出場を果たしたのがスピードスケートの次女・菊池彩花(30)=富士急=、ショートトラックの三女・悠希(27)=ANA=、五女・純礼(22)=トヨタ自動車=だ。ここまで苦戦が続くが、彩花は19日に金メダル最有力の団体追い抜き予選、悠希と純礼も17日の1500メートルなどを残し、現地で応援する両親も笑顔で大会を終えることを願っている。14年ソチ五輪ではショートトラックの四女・萌水(25)=稲門ク=も代表入り。5姉妹を育て、4人が五輪に出場した菊池家の奮闘に迫った。(林 直史)

 菊池5姉妹は人口約1000人の長野・南相木村で育ち、4人が五輪を経験した。祖父から贈られたスケート靴を履き、自宅から2キロの立岩湖に氷を張った天然のリンクで滑り始めたのは美容師の長女・真里亜さん(32)が3歳、次女・彩花が生後半年の頃。妹3人も自然と姉2人を追った。そんな娘たちとの思い出を聞かれると、元村長の父・毅彦さん(61)は「日々、子育てに精いっぱいで。記憶に残してる暇がなかった」と笑う。

 育ち盛りの頃は1日に米を15合(2・25キログラム)炊いても足りない。食費は米やナス、キュウリ、ジャガイモを自家栽培して抑え、その分、習い事には意欲を尊重した。全員がスケートに加え、水泳や南牧村のショートトラックのクラブにも通った。5人が高校、中学、小学校、保育園に分かれた時期は、長女をバスケットボール部の朝練のために朝6時に小海駅に送ることから一日が始まる。夕食の支度や妹たちの送迎を繰り返すと1日140キロ、燃料代は月8万円に達した。母・初恵さん(55)が親族の経営するガソリンスタンドで働いた給与は「ガソリン代で消えた」という。

 懸命に子育てする両親の背中を見て、姉妹も早くから自立した。彩花が小5の時だ。友人に焼き肉パーティーに誘われた。スイカを持っていく当番になったことは告げずに母に送迎を頼むと「仕事だから無理かな」と言われ、リュックに入れて隣村まで8キロを歩いた。後で知った初恵さんは「スイカのことを知ってたら都合をつけたのに」と驚いたが、「親も大変だって分かってるから。彩花に限らず、忙しい時間を自分のためにとは言わなかった」と目を細める。

 最近は五輪選手を4人育てた秘けつを聞かれることも多い。毅彦さんは「秘けつも何もない。本人たちがずっと継続して努力を続けてきたから」と語る。本番では3人とも苦しい結果が続くが、初恵さんは「終わった後に最高の笑顔で、応援してくれた方に『ありがとう!』って手を触れるような納得のいくレースをしてくれれば、それだけでうれしい」と願っている。大家族の愛情に育まれた3姉妹が、残りの種目も全力で滑り抜く。

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