宇野、自己ベストに迫る104.17点で3位「精いっぱい頑張れた」

スポーツ報知
男子SPで演技後、力強くガッツポーズする宇野昌磨(カメラ・酒井 悠一)

◆平昌五輪第8日 フィギュアスケート男子SP(16日、江陵アイスアリーナ)

 男子ショートプログラム(SP)で、世界選手権2位の宇野昌磨(20)=トヨタ自動車=が、自己ベストに迫る104・17点をマークし、3位発進した。SP首位の羽生結弦(23)=ANA=に7・51点差、同2位の16年世界選手権2連覇のハビエル・フェルナンデス(26)=スペイン=に3・41点差。フリーは最終滑走で挑む。

 珍しく右の拳を振り下ろした。宇野は初の五輪に気持ちが高ぶっていた。「団体戦は本当に『無』っていう感じだったけど、気持ちがどんどん上がっていった。完璧な演技とは言えないけど、満足いく演技ができた」。自己ベストにあと0・70点の104・17点。団体戦に続き、今季6度目の大台突破に頬を紅潮させた。

 心臓の高鳴りを感じながら「冬」の曲に乗り、駆けだした。「平常心で自分のやってきたことを信じて頑張るだけ」と言い聞かせた。冒頭の4回転フリップは着氷で耐えた。後半の4回転―3回転の連続トウループを成功し迎えた最後の3回転半(トリプルアクセル)。これもまたこらえた。「緊張すると僕は体が動きすぎてしまうので、それを抑えるのにすごい必死だった」。

 リンク裏のモニターで、羽生の世界歴代最高に迫るSPを見て「僕もいい演技をして終えられたら」と燃えた。「僕の精いっぱいは出せた。羽生結弦選手という大きな存在の後ろで、僕は精いっぱい頑張れたと思う」。ジュニア時代から背中を追ってきた憧れの人が同じリンクにいるだけで、モチベーションは上がる。

 5歳の時に遊びに行ったリンクで当時12歳の浅田真央に出会った。「かわいいね。スケートやりなよ」と声をかけられフィギュアスケートを始めた。決して器用ではない。中学時代に練習を始めたトリプルアクセルの習得に、5年を要した。練習の虫は諦めずに何度も跳んだ。1日100本以上跳ぶ日もあった。頭を打って意識を失い病院に運ばれたこともあったが、その日の昼にはリンクに戻りまた練習していた。

 団体戦ではSPを滑り1位だった。好調のまま個人戦を迎えている。首位の羽生との差は7・51点。「明日もこうやって笑顔で終われる一日にしたい」。大トリで滑るフリーは荒川静香がトリノ五輪で滑った金曲の「トゥーランドット」。4分半に魂を込める。(高木 恵)

 ◆マイペースです

 宇野はかなりのマイペースを自覚している。「いろいろとスローですし、タイミングがみなさんと合わないことがよくあります」。この日の午前8時35分からの公式練習。リンクになかなか現れない。朝が苦手な宇野だけに、まさかの寝坊が一瞬頭をよぎったが「普通に靴を履いてたら、普通に遅れました」。五輪の舞台でも自然体は変わらない。

 異例の午前開始に備え、練習開始時間を早めるなど早朝対策を行ってきた選手も多い。宇野も試してはみた。そして結論は「朝早いのはキツくてやめました(笑い)。練習でクラクラしちゃって。っていっても9時なんですけど…。朝早いのは試合の時だけ頑張ります!」。有言実行。本番勝負で結果を出した。(恵)

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