羽生「曲の解釈」9人中2人が満点 演奏者にまでこだわる「天性の耳」

スポーツ報知
男子SPの演技をする羽生結弦

◆平昌五輪第8日 フィギュアスケート男子SP(16日、江陵アイスアリーナ)

 羽生の耳と音感が作り上げた、珠玉の銀盤のショパンだった。音符の上を滑るような絶対的な表現力は「ピアノの旋律そのもの」と評される。この日の演技構成点の「曲の解釈」は9人中2人が10点満点をつけた。

 当初は五輪イヤーの今季のSPに、昨季ノーミスでできなかったプリンスの「レッツ・ゴー・クレイジー」を持ち越すつもりでいた。ANAスケート部の城田憲子監督の一言で決まった。「あなたは王者なんだから。王者らしく王道の曲を滑るのはどう」。2季ぶり3度目の「バラード第1番」を選んだ。「大好きな曲。自分のその時その時の思いを込められる曲」。この日は感謝の思いを詰め込んだ。

 耳がよく、曲に合わせてジャンプを跳べる選手だ。趣味はイヤホン集めというくらい、音に敏感。ショパンの曲もポーランドのピアニスト、クリスティアン・ツィマーマンの演奏を好み「この音じゃなきゃだめ」とこだわりを見せてきた。

 幼い頃からリズム感の良さは突出していた。小学生だった羽生を「野辺山合宿」で目にした当時のフィギュア強化部長の城田氏は、陸上でのリトミック(音楽教育)に基づいたダンスレッスンでの羽生に目を奪われた。音楽に合わせて踊るリズム感に天性のものを感じたという。小学校2年から高校1年まで指導した都築章一郎コーチも「音楽的な感性や表現は自分なりのものを持っていた。いろんな振り付けを、自分の感性で消化していく能力がある」。音と一体化した滑りもまた、羽生の強みだ。(高木 恵)

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