村上佳菜子さん、宇野昌磨とはコーチも練習場も「ずーっと一緒。弟みたいな存在」

スポーツ報知
16年、一緒に海外遠征に出発する宇野と村上さん

 初出場で銀メダルに輝いた宇野昌磨(20)=トヨタ自動車=の素顔を、14年ソチ五輪代表で同じ中京大のリンクを拠点とする村上佳菜子さん(23)が語った。

 あの緊張感の中で雰囲気にのまれず自分の演技をした宇野選手。たくさんの勇気と希望をいただきました。銀メダル、本当におめでとうございます!

 昌磨がスケートを始めた時から練習場もずっと一緒。コーチも一緒。ずーっと一緒です。弟みたいな存在ですね。ずっと近くで見てきましたが、ものすごく練習しますね。本当にできるようになるのかなという技も努力で成し遂げる。(連続ジャンプの)セカンド(2番目)につけるダブルトウループが昔はとても苦手で。トリプルトウループをセカンドにつけられるようになるのかなって思っていたんですけど。今は軽々跳ぶじゃないですか。

 習得までに時間がかかったトリプルアクセルは毎日毎日、何度も何度もやっていました。できるまでが長い分、できるようになってからは安定していました。回転の感覚をつかんだのでしょう。4回転を跳べるようになるのは早かったです。その日に「これを跳ぶ」と決めたジャンプは、成功するまで練習をやめません。すっごい遅くなる日もあるし、できれば早くあがる。リンク時間の制限内でやり切るところは、試合での勝負強さにもつながっていると思います。

 昌磨と私はよく練習を泣きながらやっていて。最近は人前で泣かなくなったけど、更衣室で悔しくて泣いたりしているというのは、お母さんから聞いていました。昌磨からスケートを取ったら何が残るんだろう(笑い)。自分でも「スケートを取ったら何も残らない」とよく言っている。人の悪口は絶対に言わない。多分、他の人に興味がないんです。

 けんかしたこともありますよ。私が昌磨の思春期に、いつも通り「ショーマ~」って、からかっていたのが嫌だったんだと思います。ある時から急に口をきいてくれなくなって。いつか直ると思ったら、1~2年かかりました(笑い)。今はもう仲良しです。でもその話をすると、昌磨は今でも「あの時は本当ごめん」って。そういうものなんですね、思春期って。

 今季は悔しい大会が続いていました。全日本選手権後に「ずっと『次は』『次は』って言いながら全然できないから、本当に五輪は最後だと思って頑張りたい」って言っていたんですよ。そういう言葉ってあまり出てこないから、本当に覚悟を決めて頑張ったんだと思います。(構成・高木 恵)

 ◆村上 佳菜子(むらかみ・かなこ)1994年11月7日、名古屋市生まれ。23歳。5歳からフィギュアスケートを始め、2010年世界ジュニア優勝。10―11年シーズンにシニアに転向し、GPシリーズ参戦2戦目のスケートアメリカで優勝した。10年GPファイナルは日本人最上位の3位。世界選手権は5度出場し、13年の4位が最高。17年4月に引退。162センチ。

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