羽生結弦、前人未到の4回転半に挑戦を宣言「モチベーションは4回転アクセルだけ」

スポーツ報知
羽生が目指す4回転半ジャンプ(3回転半に1回転足した合成写真)

 フィギュアスケート男子で66年ぶりの連覇を達成した羽生結弦(23)=ANA=と、銀メダルの宇野昌磨(20)=トヨタ自動車=が試合から一夜明けた18日、当地でメダリスト記者会見に出席。羽生は「モチベーションは4回転アクセル(4回転半ジャンプ)だけ」と口にし、スケートを始めた頃からの夢である前人未到の大技の成功を次のターゲットに定めた。また、引退後の構想が“スケートの伝道師”であることを初めて明かした。

 連覇の達成感に浸りながらも、羽生のスケーターとしての血が騒いだ。早くも次のターゲットへ狙いを定めた。

 「スケートをやめたいというのは全然ない。モチベーションは4回転アクセルだけ。取るべきものを取ったし、やるべきこともやった。だから、後は小さな時に抱いていた目標をかなえてあげるだけ」

 4歳でスケートを始めた時からの前人未到の夢の大技の完成へ向かう。

 五輪を戦ううちに、“アクセル愛”はまた強くなった。「最後の最後に支えてくれたのはトリプルアクセルだった」からだ。4か月ぶりに競技会のリンクに立った16日のショートプログラムのトリプルアクセルは3点満点の加点を引き出した。羽生は小学校から中学まで師事した都築章一郎コーチに「アクセルは王様のジャンプだ」と言われたことを明かし「アクセルに懸けてきた思い、時間、練習の質も量も全てがどのジャンプよりも多い」とこだわる理由を話した。

 痛み止めを飲みながら年明けから氷上練習を再開した。4回転ループが跳べたのは、拠点のトロントを離れる前日の9日だった。「痛み止めがなければ到底ジャンプが降りられる状態でも、跳べる状態でもない」のが現状。基礎点15点の最難関ジャンプは「右足の負担は正直言って大きなものになると思っている。右足首の状況を見ながら習得を目指したい」。まずは回復を優先させながら、ルッツ、ループ、サルコー、トウループに続く5種類目の4回転に挑んでいく。

 この日初めて、引退後のプランを明かした。世界を旅する“スケートの伝道師”だ。「世界中でいろんなことを学びながら、スケートで本気で1位を目指している人に何か手助けをしたい」。日本とカナダで学び、世界一に上り詰めた。羽生ならではの経験と、王者のイズムを伝えて回る。「スケートに懸けてきてよかったと心から言える。これからももうちょっとだけ、自分の人生を懸けたい」。羽生結弦にとってスケートとは、今も未来も人生そのものだ。(高木 恵)

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