16歳・岩渕麗楽3位突破 真央さん超え最年少メダルだ

スポーツ報知
岩渕麗楽

◆平昌五輪第11日 ▽スノーボード女子ビッグエア予選(19日、アルペンシア・ジャンプセンター)

 新種目の女子ビッグエア予選で、岩渕麗楽(れいら、16)=キララクエストク=が2回転半する「キャブ900」を決め、92・75点の3位で23日の決勝に進出。フィギュアスケート10年バンクーバー五輪銀メダルの浅田真央さんが持つ、冬季五輪の日本女子最年少メダル記録(19歳5か月)更新が見えてきた。藤森由香(31)=アルビレックス新潟=は94・25点の2位、鬼塚雅(19)=星野リゾート=は86・50点の7位で決勝へ進んだ。

 太陽が照りつけ、キラキラ輝く雪上で、149センチと小柄な岩渕がダイナミックに回って舞った。80・00点だった1回目と同じ「キャブ900」を、2回目は飛距離を伸ばし、着地も完璧に決めた。92・75点。「自信を持って滑れた。点数がそれなりに出て良かった」。体が隠れるほど大きく見えるボードを一生懸命に持ち上げて喜んだ。

 4歳でスノーボードを始め、中1でプロに転向。同時に体操部にも所属していた。運動神経は抜群。2~3歳の頃には真夏日でも祖父母宅近くの銀座の歩行者天国を汗びっしょりになるまで走り回り「ちょこまかちょこまかしていた」と祖母・里枝子さん(66)は振り返る。

 岩手・一関学院高ではテストの成績はいつも学年で10番以内と“文武両道”。スノーボードに乗る練習は週末だけだが、指導する西田崇コーチは「まじめすぎる。放っておくと、いつまでも練習しているので、こちらが止めないといけない」とその集中力に脱帽する。

 今季からW杯に参戦し、昨年12月に初優勝。今年1月には初出場した最高峰の大会「冬季Xゲーム」で2位に入るなど、急成長の伸び盛りだ。料理が息抜きで、お菓子作りが得意。母・恵里香さん(45)も「ちょっと(上手すぎて)腹立ちます(笑い)」と驚くほど手際もスムーズ。時間があれば、中2の妹・璃音(りおん)さんのためにお弁当を作ってあげる優しいお姉ちゃんでもある。

 昨年末には、レスリング女子で五輪3連覇の吉田沙保里(35)=至学館大職=らも訪れた「スポーツ振興の神」で有名な香取神社(東京・亀戸)を家族みんなで参拝。必勝祈願した。地元・岩手の人たちにも声援をもらい、今大会には手紙やお守りなどを10個以上持ち込んだ。心の支えになっている。

 余力もある。Xゲームで2位に入った時の大技・バックサイドダブルコーク1080(縦2回転、横3回転)を予選で出さずに隠し持っている。西田コーチは、「キャブ900で90点台が出たことはすごい。今回はリスクを取らなくても、結構いけるかな」と“温存”もにらむが、岩渕自身は「金メダルを取るためには」と、大技挑戦に前向きだ。23日の決勝までは中3日。「体のメンテナンスをしっかりして、風邪とか引かないように注意して過ごそうかなと思います。ビッグエアを純粋に楽しみたいし、金メダルも取りたい」とあどけなく笑う16歳2か月の岩渕が、日本の冬季五輪史に新たなページを加えようとしている。(小林 玲花)

 ◆最年少五輪メダル

 【日本人冬季】男子は14年ソチのスノーボード・ハーフパイプ銀・平野歩夢(15歳2か月)。女子は10年バンクーバーのフィギュアスケート銀・浅田真央(19歳5か月)

 【日本人夏季】男子は32年ロサンゼルスの競泳1500メートル金・北村久寿雄(14歳309日)。女子は92年バルセロナの競泳200メートル平泳ぎ金・岩崎恭子(14歳2日)。

 【外国人冬季】男子は64年インスブルックのフィギュアスケート銅・スコット・アレン(米国、14歳363日)。女子は94年リレハンメルのショートトラック3000メートルリレー銅・金潤美(韓国、13歳85日)。

 【外国人夏季】男子は20年アントワープの高飛び込み・ニルス・スクーグルド(デンマーク、14歳11日)。女子は36年ベルリンの競泳200メートル平泳ぎ銅・インゲ・セーレンセン(デンマーク、12歳24日)。

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