スポンサーゼロから始まったカーリング男子「SC軽井沢」の挑戦

スポーツ報知

◆平昌五輪第13日 ▽カーリング男子1次リーグ 日本4―10韓国(21日、江陵カーリングセンター)

 男子1次リーグ(L)最終戦で、世界ランク8位の日本代表「SC軽井沢ク」は同16位の韓国に4―10で敗れ、4勝5敗の8位で敗退が決まった。勝てば4強進出の可能性を残していたが、3―3で迎えた第6エンド(E)にミスが続いて大量4失点し、第8Eを終えてギブアップ。98年長野五輪以来20年ぶりの大舞台だったが、1次L突破の夢は22年北京五輪に持ち越しとなった。

 無念のギブアップだった。わずかな4強進出の望みがあった日本だったが、大量得点差に終戦を悟った。4―7で迎えた第8E。最終ショット前に韓国のストーンが3つ得点圏にあった。日本は、両角友が円心を狙うドロー・ショットを選択したが、手前の石に阻まれた。ダメ押しの3点が韓国に。両角友は「今日が一番、自分たちらしい形が作れなかった。これが五輪の魔物? 今更って感じですけど。4勝5敗、これが今の自分たちの実力」と、笑顔の裏に悔しさを隠した。

 結成当初はスポンサーはゼロ。清水や両角公はアルバイトをしながら生計を立ててきた。ファーストフード店で「ソフトクリームやクレープを作っていましたよ」と両角公。稼いだわずかなお金は、世界ランク1位のカナダへの遠征費に費やした。遠征先では、男2人で1つのベットに寝泊まり。3食マクドナルドで済ませる日もあった。国内では練習時間の合間に地元企業へ頭を下げに行き、スポンサーを探した。五輪行きを決めると支援は20社以上にも増えた。地域の温かい人たちに支えられ、徐々に環境が整った。

 女子の陰に隠れていた。SC軽井沢クも、女子の強豪・中部電力と同じカーリング場で練習してきた。かつて美人カーラーとして注目を浴びた市川美余さんらがいた頃には、五輪出場を目指す女子の練習相手として何度も駆り出された。セカンドの山口は「女子は顔も良くて強い(笑い)。僕たちは顔があんまり良くないので、勝つしかない」。ささやかな対抗心を秘めて戦ってきた。

 最後まで見せ場をつくり“カー侍”の存在感は高まった。「五輪って場所はめちゃくちゃいいところ。あまりにも特別な場所だった。20年ぶりに来れたのは一歩前進」と山口。「大きく離されていた世界との差は近づいている」と両角友も言った。夢の続きは北京で見るつもりだ。

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