高木菜&佐藤“パシュート力”でマススタート初代女王だ

スポーツ報知

 金2を含む史上最多の5個とメダルラッシュに沸くスピードスケートは、24日に最終種目の男女マススタートが行われる。23日は組み合わせ抽選があり、日本は女子に高木菜那(25)=日本電産サンキョー=、佐藤綾乃(21)=高崎健康福祉大=を登録した。ともに団体追い抜き(パシュート)金メダルメンバー。磨き上げた連係を生かし、今大会から導入された新種目でもメダルを取りにいく。

 世界に誇る“パシュート力”で、新種目でも日本が主役を狙う。この日は安全のためのヘルメットや手袋を着用した“マススタート仕様”の装備で出場予定の高木菜、佐藤とサブの高木美帆(23)=日体大助手=の3人が最終調整。ペースの上げ下げや前方の相手を抜きに行く際など、この種目の独特の動きを確認した。

 今大会で実施されるマススタートは1回戦で24人が2組に分かれて上位8人ずつが勝ち上がり、2戦目の決勝は16人が一斉に16周を滑って着順を争う。転倒や接触も多く、「氷上の競輪」とも呼ばれるスリリングな展開が魅力だ。

 個人種目だが、1か国最大2人が出場でき、一方が風よけやおとりになるといったチームワークと戦術で力の差をひっくり返すことが可能だ。ナショナルチームで連係を強化し、個々の力で勝るオランダを五輪新記録で撃破したパシュートに通じるものもある。1回戦で別の組に入る高木菜と佐藤がともに決勝に進み、2人で戦える状況を作ることが大前提だが、日本代表の湯田淳監督(45)は「パシュートの練習は、接近や交代を繰り返すマススタートにも生きる」と自信を見せる。

 2人はマススタートでの実績も抜群だ。高木菜は昨年の世界距離別選手権で2位、佐藤は16年世界ジュニア選手権や今季のW杯第1戦で優勝している。一緒に練習してきた高木美も、姉の菜那に「マススタートの経験が豊富で状況判断が的確」、佐藤に「最後のスプリント勝負になった時の底力、強い気持ちは計り知れない」と信頼を寄せる。

 冬季日本女子最年少金メダリストの佐藤は「今の段階ではどんな展開になるかわからないけど、いいメダルの色を目指して頑張ってきます!」と初代女王へ意欲。ナショナルチームで寝食をともにした2人が力を合わせ、メダルラッシュに花を添える。(林 直史)

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