カー娘、まだ「銅」がある!決勝逃した悔し涙を嬉し涙へ…英国と3位決定戦

スポーツ報知
第6エンド、得点を奪い、ハイタッチする藤沢ら日本代表(カメラ・酒井 悠一)

◆平昌五輪第15日 ▽カーリング女子準決勝 韓国8―7日本(23日、江陵カーリングセンター)

 女子準決勝が行われ、1次リーグ(L)4位の日本代表「LS北見」は同首位の韓国に7―8で競り負け、史上初の決勝進出を惜しくも逃した。3失点の痛恨スタートからスキップ・藤沢五月(26)の絶妙ショットなどで粘り、最終10エンド(E)に7―7と追いついたが、延長戦で韓国の美女スキップ、金恩貞(27)の最後の一投で1点を奪われ涙をのんだ。日本は24日に銅メダルをかけて、1次Lで敗れた英国と対戦する。

 奇跡は2度続かなかった。6―7で迎えた第10E。不利な先攻だった日本は、ラストショットでスキップ・藤沢が相手にプレッシャーをかける絶妙な位置にストーン(石)を置いた。しかし、韓国のラストショットが、ハウス(円)の中心に近づいてくる。藤沢は「わー、負けた!」と諦めかけたが、たった数センチ、日本のストーンの方が円の中心近くに残った。「ラッキーだった」。命拾いして満面の笑みを見せるLS北見。しかし、幸運はここまでだった。

 完全アウェーの中、史上初の4強で迎えた準決勝。勝てば銀メダル以上が確定する歴史的一戦は相手の韓国も同じだった。延長戦に入り、スキップ・金恩貞が眼鏡の奥で鋭く視線を光らせ、最後の一投を放つ。石が円のほぼ中心にピタリと止まり、約3時間に及ぶ勝負は決した。3500人収容の会場を埋めた地元ファンの地鳴りのような大歓声が響いた。

 吉田知は涙を流し、鈴木も目を赤くした。藤沢は「悔しいです。言葉にするならその一言。ただ悔しいです」と涙をあふれさせた。「(11Eの最後は)決めた相手がいいショットだった。本当に拍手。何も言うことはない」とたたえた。控えの本橋は「苦しい形になってしまった。2点を取らせてもらえなかった」と分析した。

 1試合が約2時間30分から3時間、1日に2試合は当たり前の競技。1試合でスイーパー(掃く人)が掃く距離は約2キロにもなり、消費エネルギーはバスケットボール1試合フル出場に相当する。馬力と根気をつけるために、1日6時間の練習のうち、約1時間30分をトレーニングに充てた。40~70メートルのダッシュを多い日で1日10本。有酸素運動と自重の筋トレを織り交ぜたサーキットトレーニングで心肺機能を高めた。スイーパーの吉田夕と鈴木は、毎日茶わん2杯のご飯をもぐもぐ。食の意識も変え、スイープでブレない足腰と体幹、重さ20キロのストーンを1試合20回投げきる筋力、体力を身につけた。藤沢はストレッチのような動きで、柔軟性や肩甲骨を鍛え、ショットのコントロール精度をアップ。試合前には鏡と正対して表情を見るルーチンも始めた。「顔がこわばっていないか、笑えているかを見る」ため。この4年間、心と体を鍛え直した。

 まだ終わらない。24日は1次Lで惜敗した英国とメダルをかけたリベンジマッチ。試合後、落ち込む4人に、本橋は「明日(24日)プレーができるのはベスト4だけで、他のチームはただ見てるだけ。そういう悔しいチームもいるんだよ」と声をかけた。泣いても笑っても残り1試合。手ぶらでは帰らない。(小林 玲花)

 ◆1次リーグ・英国戦VTR 5勝2敗の日本は、勝てば準決勝進出が決まる試合で大きなミスが出た。世界ランク4位の格上を相手に3―3と互角の戦いを演じて迎えた第6エンド(E)。栄養補給の“もぐもぐタイム”明けで、氷の状況に変化が起きたのを日本は読み切れず。有利な後攻でありながらミスショットが続きまさかの3失点。試合の流れも逃して6―8で敗れた。

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