竹内智香、ソチ銀からの“追試”で金ならず5位も完全燃焼「やってきた努力は100点満点」

スポーツ報知
準々決勝で敗退した竹内は、ボードを掲げ応援団の歓声に応えた(カメラ・相川 和寛)

◆平昌五輪第16日 ▽スノーボード女子パラレル大回転(24日、フェニックス・スノーパーク)

 女子パラレル大回転(PGS)決勝が行われ、2014年ソチ五輪銀メダルの竹内智香(34)=広島ガス=が5位入賞を果たした。予選を2回合計1分32秒86の6位で突破。決勝トーナメント1回戦はソチ五輪パラレル回転を制したデュモビッツ(オーストリア)を破ったが、準々決勝でイエルク(ドイツ)に敗れた。エステル・レデツカ(チェコ)がアルペンのスーパー大回転に続いて優勝し、史上初めてアルペンスキーとスノーボードの両方で金メダルを獲得した。男子は初出場の31歳、斯波正樹(RIZAP)が予選敗退。ネビン・ガルマリーニ(スイス)が初制覇。

 晴れ晴れとしていた。竹内は「五輪はやっぱり何度来ても楽しいし、続けてきて良かった。一生出ていたいくらい」と、万感の思いを込めた。今季W杯PGSでは7戦で4度の予選落ちだったが、大一番で本来の輝きを取り戻した。予選を6位で突破。4強を懸けた準々決勝は、コース状況が悪くタイムが出にくい青コースを果敢に攻めた。「メダルを取って次の世代に引き渡したかったけど、やってきた努力は100点満点」と、自分に花丸をつけた。

 銀メダルを獲得したソチ大会の“追試”と位置づけた平昌だった。筋力強化に本腰を入れ、20キロがやっとだったベンチプレスは40キロ。30キロだったクリーン(地面に置いたバーベルを肩まで上げる)は55キロをこなす。「4年前、何もできない状態から見れば本当に伸びた」。16年、選手生命を危機にさらす左膝前十字じん帯断裂を負っても、培った筋力があったから平昌にたどり着けた。友岡和彦トレーナー(46)は「心肺能力も強いし、回復能力も高くて年齢から見ても衰えがない。スーパーウーマンという感じ」と、舌を巻いた。

 “追試”に向け「金」にこだわり抜いた。腕時計をソチ時の銀色から金色に替え、指輪も金色。「日頃から金を選ぶ積み重ねが、金を引き寄せる」と竹内。

 ゲン担ぎだけではない。夜の会食は遅くとも午後8時で終える。アレルギー体質のため、乳製品や卵を食べ過ぎないように心がけた。「日本に生まれたからには、五輪に価値を感じるのは宿命」。金メダルにはたどり着けなかったが、完全燃焼したと言い切れた。

 38歳で迎える22年北京五輪では、キャスター転身を果たす可能性も浮上している。セカンドキャリアとして興味を抱いており、昨夏にはNHKサンデースポーツにマンスリーキャスターとして出演した。「五輪に帰ってきたい思いはある。選手かキャスターかチーム(スタッフ)か、これから考えたい」と笑った。5大会の五輪出場を糧に、今後もさらに輝きを増すだろう。(細野 友司)

 ◆竹内 智香(たけうち・ともか)1983年12月21日、北海道・旭川市生まれ。34歳。旭川東明中3年から競技を始める。クラーク記念国際高3年時の2002年にソルトレークシティー五輪初出場。14年ソチ大会では、日本女子スノーボード初となる銀メダルに輝いた。165センチ、61キロ。

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