高木菜那、1大会女子初2つ目の金 マススタート初代女王

2018年2月25日6時0分  スポーツ報知

 ◆平昌五輪第16日 ▽スピードスケート女子マススタート決勝(24日、江陵オーバル)

 女子マススタートが行われ、高木菜那(25)=日本電産サンキョー=が金メダルに輝いた。1回戦で佐藤綾乃(21)=高崎健康福祉大=が転倒に巻き込まれ、1人で臨んだ決勝。駆け引きとラストのスプリント勝負を制し、今大会から実施の新種目で初代五輪女王となった。高木菜は団体追い抜きに続く優勝で、夏冬含めた五輪で日本女子初となる同一大会2個目の金メダル獲得となった。25日に閉会式が行われ、17日間にわたった大会は幕を閉じる。

 155センチの小さな体が、表彰台の中心で大きな輝きを放った。新種目のマススタートで初代五輪女王となった高木菜は、両手を突き上げ、ピョンピョンと跳びはねて喜びを爆発させる。「最高の舞台で一番高い所に上れて本当にうれしい」と満開の笑顔を咲かせた。

 決勝は想定外に孤軍奮闘の戦いを強いられた。集団のレースとなるマススタートは、空気抵抗を避けて体力を温存するために他の選手の後ろに付くなど、戦術が鍵を握る種目だ。日本は佐藤と2人が出場。ともに決勝に進み、チームで連係してワンツーフィニッシュを狙う作戦だった。高木菜は1回戦は通過するためのポイントを序盤で取った場面を除き、ずっと他の選手の背後に潜んで力をためた。だが、もう1組で佐藤が転倒に巻き込まれ、1回戦で敗退。自身は「1人で行くしかないと腹をくくった。佐藤の分まで金メダルを取る」と覚悟を決めた。

 決勝前、作戦を練り直そうとデビット・コーチを探していると、補欠に回った高木美帆(23)=日体大助手=が代わりに呼んでくれた。妹に「行けるぞ。頑張って」と送り出され、「パワーをくれました」。新たな作戦はオランダのスハウテンの徹底マーク。14年ソチ五輪後に日本電産サンキョーの一員でオランダに留学した際、この種目でしのぎを削った相手だった。

 2周目からピタリと後ろに付き、風よけに使って体力を温存した。「力をなるべく残して、最後のスプリントで一気に仕掛けることを考えていた。後ろに付いている間は、なるべく楽に風の抵抗をなくしながら滑ろうと。パシュート(団体追い抜き)でもずっとやってきたことなので、無意識にできた」。途中、エストニアの選手が大きく抜け出たが、じっと我慢した。

 ラスト1周、スハウテンがペースを上げると、必死に食らい付いた。エストニア選手を抜き、2番手に上がった。最後のカーブを回り、残り100メートルのスプリント勝負。「ここで行かなきゃ、いつ行くんだ」と夢中で足を動かした。わずかにできたイン側の隙間を最短コースを取ってスルリと抜け、トップでゴールを滑り抜けた。豪快なガッツポーズが飛び出し、デビット・コーチに抱きついた。

 歴史に名を刻んだ。団体追い抜きに続き、日本女子では夏冬通じた五輪同一大会で初めて2個目の金メダルを獲得。子供の頃から才能に嫉妬心を燃やしてきた妹・美帆は14年ソチ五輪の落選を乗り越え、3個のメダルを手にした。「一生懸命頑張ってる姿を隣でずっと見てきて、誇りに思っている」と刺激を受けた。最後に意地を見せた姉は「最高の五輪になった。『美帆だけじゃなくて菜那もいるんだぞ』ってところは見せられたかな」と無邪気に笑った。(林 直史)

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