高木美帆歴史刻んだ 83年目世界選手権を日本人初制覇

2018年3月12日6時0分  スポーツ報知
  • 世界選手権上位3人の4種目成績

 ◆スピードスケート 世界選手権第2日(10日、オランダ・アムステルダム)

 女子で平昌五輪団体追い抜き金、1500メートル銀、1000メートル銅メダルの高木美帆(23)=日体大助手=が、男女を通じ日本選手として初の総合優勝を果たした。後半の2種目は過去6度優勝で2位だったイレイン・ブスト(オランダ)と同走し、1500メートルは1分58秒82の1位。最終5000メートルも7分29秒93でトップと3秒08差の4位と踏ん張り、166・905点で初日からの首位を守り抜いた。男子は1800年代から行われている伝統の大会で、欧米勢以外の総合優勝は初の快挙だった。菊池彩花(富士急)は総合7位。

 高木美が日本人で初めて「クイーン・オブ・スケート」の称号を手にした。最後の5000メートルを終え、両膝に手を当て肩で息をしていると、デビット・コーチに観客席を見るよう促された。顔を上げると、スケート大国・オランダの2万5000人の大観衆が、スタンディングオベーションで新女王の誕生を祝福していた。その光景を「うれしい気持ちでいっぱい。お祭りのようなこの大会で勝てたことは、ずっと記憶に残ると思う」と目に焼きつけた。

 最強のライバルとの真っ向勝負を制した。500メートル1位、3000メートルが2位で首位発進し、2日目は五輪で銀メダルを獲得した1500メートルから始まった。同走は金のブスト。「ここで五輪の悔しさが晴れることはないが、絶対に脚を止めないという強い気持ちで滑った」。最初の300メートルで先行した0秒33差を詰められたが、最後の直線で競り勝ち、0秒07差で雪辱した。

 5000メートルは冷静な判断が光った。今季一度も滑っていない種目だったが、3種目で11秒61と大幅リードを稼いだことを踏まえ「省エネでリズムを刻むことだけ考えた」。落ち着いた入りで安定したラップタイムを刻むと、再び同走したブストの背中が「意外と近いな」と勝利を確信した。男子は1800年代終盤に始まり、女子は1936年に第1回が行われた伝統あるタイトル。デビット・コーチも「日本ではなじみの薄い大会だろうが、オランダ人の僕はこの価値がより分かる。感激だ」とたたえた。

 平昌五輪では日本女子で初めて「金銀銅」メダルを制覇した。14年ソチ五輪の落選から「4年間、スケートに全てを懸ける」と挑んだ大会の直後には「気持ちの切り替えは正直できていない」と吐露していたが、その約2週間後の快挙。「この場で滑れるのは幸せなことと思えたし、レース自体を楽しいと感じる気持ちを味わえた」。充実の笑みを浮かべた23歳が、世界最強のオールラウンダーとなった。

 ◆スピードスケートの世界選手権 距離ごとに勝者を決める五輪などと異なり、4距離(女子は500、1500、3000、5000メートル)のタイムを500メートルあたりに換算し、合計ポイントの少なさを競う。男子は1800年代終盤、女子は1936年から実施され、日本勢で表彰台に立ったのは5人。男子は白幡圭史が95、97年に2位、96年に3位。女子は橋本聖子が90年に2位、92年に3位。上原三枝が96年、田畑真紀が2000年、高木美帆も17年に3位に入った。また、現在は大半の国際大会が屋内で開かれるが、今大会は125年ぶりのアムステルダム開催で、1928年夏季五輪のメイン会場に特設された屋外リンクが舞台となった。

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