【王手報知】国民栄誉賞・羽生竜王、紅白歌合戦で語った「夢」の真実とは

2018年1月8日12時0分  スポーツ報知
  • 鳩森八幡神社で参拝する羽生善治竜王
  • 振り駒をする羽生善治竜王(左)(右は日本将棋連盟会長の佐藤康光九段)

 空前のブームを巻き起こしている将棋界の話題を追う新企画「王手報知」を毎週月曜に配信します。第1手は、国民栄誉賞受賞が正式決定したばかりの羽生善治竜王(47)が登場。今月5日、将棋会館(東京都渋谷区)で行われた新春の恒例行事「指し初め式」に臨む前に「王手報知」に新年の誓いを立てた。昨年末のNHK紅白歌合戦で語った「夢」の真実とは―。

 国民栄誉賞受賞の吉報が届く約2時間前だった。羽生は初春を迎えた思いを「王手報知」に語ってくれた。

 「新年ですから、また新たな気持ちで臨みます。昨年は将棋界にとって大きな1年になりましたが、一過性のブームで終わらせないようにしなくてはなりません。子供さんたちが持ってくれた興味を軌道に乗せる1年にしたいです」

 昨年末、竜王を奪還して前人未到の「永世7冠」に輝いた。紅白には白組司会の嵐・二宮和也との対談でVTR出演した。

 「いやいや、お恥ずかしい限りです(笑い)。紅白は自宅で見てましたよ。安室(奈美恵)さんの歌は…とっても良かったですね。『Hero』はリオ五輪のテーマでよく聴いていましたから」

 対談で語っていたのは「夢」と「初心」について。

 「紅白で話した『初心忘るべからず』というのは世阿弥の言葉なんです。将棋を覚えた時の初心、棋士になった時の初心、そして新年を迎えての初心。いつも最初の気持ちを忘れずにいたいですね」

 番組テーマの「夢」について、対談では「かなう、かなわないは別として夢を持つことが意味のあること」と語るにとどめていたが、今の羽生にとって「夢」とは何なのだろう。

 「熱中して前に進んでいけるものが夢。夢があることが前に進んでいく推進力になります。私にとっては…ずっと将棋です」

 2018年も節目の大記録を目指す1年になる。歴代最多99期の通算獲得タイトル数を100期の大台に乗せること、そして大山康晴十五世名人の歴代最多通算1433勝を更新すること。現在1391勝。

 「もちろん、目標は具体的なものがあった方が考えやすいものですが、まずは1400勝を目指していきたいです」

 今年は年男。同じく戌(いぬ)年の大リーグ・エンゼルスの大谷翔平投手(23)の挑戦にも熱視線を送っている。

 「非常に楽しみにしているんです。今まで多くの選手がメジャーに挑戦してきましたけど、二刀流でやろうというのは例がないことですから、どのくらい活躍されるのか。私は…もうさすがに4回目(の年男)なので…と思いながらも、干支(えと)として巡ってきているなら充実した年にできればという思いもあります」

 ちなみに、記者が長考の末に決定した連載タイトル「王手報知」は、将棋で最も恥ずかしい反則「王手放置」をもじっている。相手に王手をかけられているにもかかわらず、王将を逃がしたり守ったりせずに別の一手を指してしまう初心者の痛恨ミス。読者から「これは反則!」と言われるくらい充実した原稿を目指すための旗印だ。

 さすがの羽生とて、将棋を始めた小学1年の頃は「王手放置」の経験もあるはずと思いきや…。

 「いや…王手放置は…ないですね。されたこともない…ような気がします」

 取材を終えた羽生は、将棋会館前の鳩森八幡神社で執り行われた祈願祭に出席し、再び会館へ。棋士や関係者が一局の将棋をリレー形式で1手ずつ指していく「指し初め式」に参加。通常は記録係が先手後手を決めるために行う「振り駒」を超異例で披露し、居合わせた一同の笑顔を誘った。

 途中、国民栄誉賞の一報が舞い込む。退室し、報道陣の前で語った。「(棋士としての)三十数年はあっという間の出来事。これから先も棋士としての生活は続いていくので、過去を踏まえて未来に進んでいけたら。限界に挑んでいくつもりで前進していきたいです」

 将棋界、そして羽生の2018年が始まった。(北野 新太)

 ◆羽生 善治(はぶ・よしはる)1970年9月27日、埼玉県所沢市生まれ。47歳。東京都八王子市育ち。6歳で将棋を始め、82年に二上達也九段門下で棋士養成機関「奨励会」入り。85年、史上3人目の中学生棋士に。89年に史上最年少(当時)の19歳で初タイトルの竜王を獲得。96年、史上初の7冠独占。2012年、獲得タイトル数が史上最多81期(現在99期)に。趣味はチェス。家族は元タレントの理恵夫人と2女。

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