新国立競技場、今年がヤマ場!2月から屋根工事着手「勝負の一年」

スポーツ報知
2019年11月末の完成に向け、建設が進む新国立競技場(カメラ・酒井 悠一)

 2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場(東京都新宿区)の工事が4日から始まった。日本スポーツ振興センター(JSC)新国立競技場設置本部企画調整役の小松幸雄氏は、これまでの工程を「順調です」と強調する。2月からは最大のヤマ場となる屋根(高さ約47メートル)部分の工事に着手する。JSCによると、19年末の完成まで延べ約200万人の作業員が工事に関わる。

 JSCの小松氏は、工事の進行状況について「遅れなく進んでいる。順調です」と手応えを語る。一方で、2019年11月末の完成を目指し、今年を「勝負の一年」と位置づけた。

 2016年12月の本体着工からこれまでは地上部分の工事が中心だった。昨夏からはメインスタジアムが着工。いよいよ2月からはスタジアムの特徴でもある観客席を覆う屋根の工事が本格的に始まる。屋根の高さは約47メートル、長さは約60メートル。観客席の大部分を覆う形で雨にぬれずに観戦ができる。高さを抑えることを意識し、地上部分からの圧迫感も減らした。

 小松氏は「特に神経を使う作業になります」と屋根工事が大きなヤマ場だと話す。108のユニットで構成される屋根は、鉄骨と木材を組み合わせて先端部分1組(約180トン)を3分割して、スタジアムの内外から大型クレーンでつり上げる作業を繰り返していく。屋根の工事完了は来年5月ごろ。高所での作業が続くことになる。観客席から見える屋根の内側部分には国産のスギとカラマツを使用。暑さ対策として外部の風を取り込んで循環させる仕組みも導入する。

 これまで年間約300日、一日平均1300人が工事に関わってきた。今夏から作業員を2500人~3000人まで大幅に増員する。大成建設などはドローンも駆使し、上空から全体の仕上がりを確認。18年は内装、外装工事、歩行者デッキにも取りかかる。年末になれば、「神宮の杜(もり)」と調和するスタジアムの輪郭がより鮮明になってくる。19年11月末の完成まで延べ約200万人が工事に関わる大型プロジェクト。小松氏は「作業員、管理者らみなさんの毎日毎日の積み重ねが大切になってきてますね」と話している。

 ◆新国立競技場(東京都新宿区)敷地面積約11万3000平方メートル、建築面積約7万2400平方メートル。地上5階、地下2階建て。高さ約47.4メートル、鉄骨造り(一部鉄筋)。座席数6万8000席(大会時観客席6万)。16年10月に着工、19年11月末完成予定。工事費は1490億円(関連経費含め1590億円)。大会後は陸上競技を行わず球技専用化を図る。命名権、運営権を売却する。

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