伊藤女流二段「里見さんには…勝ちたいんです」女流名人戦14日開幕

スポーツ報知
大のディズニーファン。「いちばん好きなのは…くまのプーさんです」と笑顔の伊藤沙恵女流二段

 里見香奈女流名人(25)に伊藤沙恵女流二段(24)が挑戦する5番勝負が14日、神奈川県箱根町の岡田美術館で開幕する。悲願の初タイトルを目指す伊藤に決戦直前の思いを聞いた。(北野 新太)

 ―いよいよ女流名人戦5番勝負に初登場です。

 「新年が明けてから、ずっと『ついにやってくるな…』という気持ちです。女流棋士の皆さんが目標にしている伝統ある棋戦ですから、女流棋士を代表して皆さんの気持ちを背負って戦わなくちゃいけないような覚悟はあります」

 ―リーグは9戦全勝。独走での挑戦権獲得でした。

 「全勝できるなんて思っていませんでした。幸運だっただけです…」

 ―今期だけで里見女流名人と4度目の番勝負になります。

 「同じ方とこんなに何度も戦うのは初めてのことですけど、チャンスを全部逃してきて、自分に足りないものは何なのかを考えることが多くなりました。足りないもの…ばかりですけど」

 ―いまだに無冠というのは意外でもある。

 「ここまできたら、もうひとつ上に上がらないといけないと思いますし、里見さんが5つも持っておられると、私も1つくらい欲しいな…という気持ちはあります(笑い)。周りからも『もう女流二段は卒業じゃないですか?』って言われたりしますし…」

 ―里見女流名人とはどんな存在でしょうか。

 「私も奨励会出身なので、三段リーグと並行して女流棋戦を指しておられることがどれだけ大変なのかを想像することはできます。そんな中で、自分の力を安定して発揮されるのはすごいことだと思います。でも、倒さなくてはいけない相手だと思っていますし、里見さんには…勝ちたいんです。すごく。でも、気持ちが空回りしてもいけないから平常心でいかないといけないですね」

 ―どのようなシリーズに。

 「相手は里見さんなので、挑戦者がリードしていかないと厳しいので、1局目は大事だと思っています」

 ◆伊藤 沙恵(いとう・さえ)1993年10月6日、東京都武蔵野市生まれ。24歳。屋敷伸之九段門下。5歳で将棋を始める。唯一の女子として出場した2004年の小学生名人戦では佐々木勇気(現六段)、菅井竜也(現王位)に次いで3位に入り、話題に。同年、棋士養成機関「奨励会」入会。14年に退会して女流棋士に転向。翌年、女流王座戦でタイトル戦に初登場した。振り飛車も指しこなす居飛車党。今期25勝8敗。家族は母と姉、兄。

 ◆第44期女流名人リーグ 今期絶好調の伊藤は2回戦で前期挑戦者の上田に勝ち、4回戦で香川との全勝対決を制すと勢いに乗る。最終一斉対局を待たずに8回戦で挑戦権を獲得した。予選通過組の4人の中で残留したのは渡部のみ。女流棋界における最難関リーグであることが証明された。

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