芥川賞に石井遊佳さん「百年泥」と若竹千佐子さん「おらおらでひとりいぐも」

スポーツ報知
芥川賞・直木賞の選考会場に入る浅田次郎さん

 第158回芥川賞と直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が16日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれた。

 芥川賞には初候補の石井遊佳さん(54)の「百年泥」と若竹千佐子さん(63)の「おらおらでひとりいぐも」。2度目の候補で直木賞候補の経験も3度ある宮内悠介さん(38)は今回も受賞ならなかった。

 芥川賞選考委員で作家の堀江敏幸さん(54)は「今回は石井さんと若竹さんの同時受賞に決まりました。最初の投票から、この2作が頭一つ出ていた」と話し、「若竹さんの作品は最初から過半数を超えていました」と続けた。

 「若竹さんの作品は言葉に活気がある。つくったものではない東北弁の活気を語り部の標準語が制御していた。エネルギーのあるバランスの良さが評価の対象になった」と評価した。

 「石井さんの作品もインドを舞台に妄想と奇想をおりまぜながら、スケールを納めた。活気の質が若竹さんとは違う。もっとほどけた魅力があった」とした。

 ともに年齢の高い女性新人の受賞となった点について、堀江さんは「年齢への議論は全くありませんでした。選考会では、それは忘れてますね。あくまで作品を論じてますので」と話した。

 「小説に関しては(年齢によって)熟すということはない。ともに力量のある方ですので…。後は書くこと。コンスタントに自分の中にあるものを表に出すということを繰り返して欲しい」と要望した。

 ▽第158回芥川賞候補作

 石井遊佳「百年泥」(新潮11月号)▽木村紅美「雪子さんの足音」(群像9月号)▽前田司郎「愛が挟み撃ち」(文学界12月号)▽宮内悠介「ディレイ・エフェクト」(たべるのがおそいvol.4)▽若竹千佐子「おらおらでひとりいぐも」(文芸冬号)

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