直木賞選考委員・伊集院静氏、Saoriの才能を評価「作家だったら『世界が終わる』ことはありません」

スポーツ報知
藤崎彩織

 第158回直木賞(日本文学振興会主催)の選考委員を務めた作家・伊集院静氏は、「ふたご」で同賞の候補作となった人気バンド「SEKAI NO OWARI(セカイノオワリ)」のSaoriとして活動する藤崎彩織さん(31)について講評した。

 ―藤崎さんについて

 「才能がある。感性もある。小説の形としては完成度が足りないんじゃないか。事実であるようなことが書かれている。物語はきれいにみえる、真実を書くと物事があいまいになって見えなくなる。あるものをそのまま書くと。最初に書かれた作品としては非常に才能がある」

 「これまでに素晴らしい楽曲と出会ってきたように、素晴らしい小説と出会うと、もっと素晴らしい作家になれると思う。作家のほうが(音楽家より)解散がないから楽ですから。作家だったら『世界が終わる』いうことはありません(笑い)」

 ―候補に入ったことについて

 「どういうことなんだというの(議論)はありましたけど、そんなことを争っていたら長くなりますからね。何かがあるから(候補に)残したというのは斟酌しないと。音楽業界よりも芸人(又吉)よりも純粋だったということでしょうね」

 ―藤崎さんが優れている点は?

 「ものの見方。斜めにならず、まっすぐ見ようという前向きなところが感じられるのがよかったと思う。文学を高尚という発想はしない。いろな人が入ってくる、違う世界の人が入ってくるのは素晴らしいことだと思う。我々はそういうものを非常に期待しています。プロ野球選手が入ってくれてもかまわない。あり得ないでしょうけど」

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