藤井四段、憧れ羽生竜王と2・17公式戦初対局に気合「勝負の上では対等という気持ち」

スポーツ報知
緊張気味の藤井聡太四段(左)と余裕の笑みを見せた羽生善治竜王(カメラ・頓所 美代子)

 将棋の羽生善治竜王(47)、藤井聡太四段(15)が16日、都内で行われた第30期竜王就位式の前に記者会見に臨んだ。両者は非公式戦で2度対局しているが、公の場でツーショットは初めて。2月17日の第11回朝日杯将棋オープン戦準決勝で公式戦初対戦することが決まっており、羽生は「対局が始まってしまえば五分と五分と思っています」と警戒。藤井は「成長した自分を見せることができたら」と抱負を述べた。

 いつもより羽生はニコニコしていた。隣に座る藤井がカチコチに緊張していたからだ。質問される度に「あ…ハイ」と言った後で少しだけ固まる少年のほほ笑ましい姿を、王者は穏やかな表情で見守っていた。

 羽生が新竜王として、藤井が6組優勝者として表彰を受ける第30期竜王就位式の前に会見が用意された。式では質疑応答の時間がないためにセッティングされたものだが、図らずも両者の公式戦初対戦が決まったばかり。決戦に向けた抱負を語る場に様変わりした。

 過去の非公式戦では1勝1敗同士の2人。ついに公式戦で史上最年少棋士の挑戦を受けることになった羽生は「どこかで必ず顔を合わせるとは思っていましたが、こんなに早く実現するとは思っていなかったので少し驚いています」と素直な感想を述べた。14日の朝日杯準々決勝で佐藤天彦名人(29)を撃破して対羽生戦の切符を手にした藤井は「佐藤名人に勝つことができて羽生竜王と対戦する機会を得たことをうれしく思います。皆様が楽しんでいただけるような熱戦を演じられるようにします」と語った。

 非公式戦を指したのは昨年2~3月。当時と状況は変わっている。藤井は成長を遂げ、羽生は藤井将棋を以前より深く理解している。

 羽生「藤井さんの棋譜を見るようになって、スタイルのようなものは見えてきています。ただ、棋譜だけでは分からないので実際に体感するのが楽しみです」

 藤井「1年間で成長することができたと思っているので、成長した自分を見せられたらと思います」

 重圧はないかと問われると、羽生の瞳が光った。

 「将棋って同じ条件でやるものなので対局が始まってしまえば五分と五分。プレッシャーはあると思いますけど、普段と変わらないように指すつもりです」

 会見後の就位式には報道陣30社80人、約650人の来場者が訪れた。会見ではおとなしかった藤井は、対羽生戦について尋ねられると満員の会場で宣言した。

 「勝負の上では対等という気持ちで全力で戦いたいと思います」

 背後で「対等」という言葉を聞いても羽生の表情は動かなかった。勝負はもう始まっている。(北野 新太)

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