青森市に20億円の匿名寄付…県男性平均寿命9回連続全国ワーストの短命返上を要望

スポーツ報知

 青森市は17日、匿名の市民から昨年12月に20億円の寄付があったことを明らかにした。寄付者は「短命の返上に使ってほしい」と要望。市はスポーツ施設の整備や健康づくり事業に役立てる方針だ。厚生労働省によると、5年に一度行う「都道府県別生命表」調査では、青森県の平均寿命は男性が1975年から9回連続、女性は2000年から4回連続で最下位。長寿への特別な意識が高額寄付につながった。

 平均寿命最下位としての忸怩(じくじ)たる思いがあふれ出したのか。青森市にポンと20億円もの寄付を行う人物が現れた。市によると寄付者は市内在住の個人。昨年、小野寺晃彦市長のもとに直接訪れ、「短命という汚名を返上したいので、健康やスポーツ関連の事業に使ってもらえないか」と申し出があったという。

 両者は数回の話し合いの末、市中央部の青森操車場跡地にスポーツやコンサートなど多用なイベントに利用できるアリーナを建設することで合意。総事業費は70~80億円とみられ、寄付者自身がそのうちの20億円を寄付すると決め、昨年12月28日に振り込みが完了した。

 小野寺市長は17日の会見で「大きな力をもらった。ご厚志に応えなければと身の引き締まる思いだ」と感謝。アリーナ建設のほか、園児や小学生を対象にした食育推進事業などにも利用することを明らかにした。本人の希望で寄付者の氏名や性別、職業などは公表しなかった。市の2017年度の予算は約1200億円であることを考えると、実に60分の1に該当する巨額の寄付となる。

 青森県は、平均寿命に関して大きな悩みを持っていた。17年12月に公表された厚生労働省の平均寿命に関する15年の調査結果で男性が78・67歳、女性が85・93歳で、ともに全国最下位となった。調査は5年に一度の実施で、男性が9回連続、女性は4回連続の不名誉な記録。男性寿命は75年から40年にわたって最下位を独走し続けていることになる。

 短命という事実に、青森全体で危機感を募らせ、市では健康増進に力を入れている最中だった。13年には青森市内で健康長寿を考える「平均寿命サミット」も開催。青森県民の肥満、喫煙、大量飲酒などの意識改革が討議されたことがあった。

 青森市には16年末にも京都市の会社経営者から5億円の寄付があり、新ビジネス支援などに充てられた。市によると当時の寄付金最高額。今回はその3倍、断トツの新記録となった。

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