羽生に冬季五輪選手初の国民栄誉賞も 安倍首相直電で「誇りに思う」

スポーツ報知
五輪2連覇優を達成して、日の丸をまとう羽生結弦

 平昌五輪のフィギュアスケート男子で優勝した羽生結弦(23)に国民栄誉賞授与の可能性が浮上したことが17日、分かった。決定すれば、冬季五輪の金メダリストとしては初めてとなる。同種目での五輪連覇は66年ぶりとなる偉業であることに加え、2020年の東京五輪に向けてスポーツ界を盛り上げていきたいという政府の狙いもあるとみられる。この日、安倍晋三首相(63)は羽生に祝福の言葉を贈った。

 “ぶっつけ本番”で臨んだ五輪の舞台でキッチリ結果を出し、連覇を飾った羽生に、国民栄誉賞が贈られる可能性が出て来た。

 これまで、五輪の金メダリストに国民栄誉賞が贈られたのは1984年のロス五輪・柔道無差別級の山下泰裕さんら4人。その全員が夏季大会の日本代表で、冬季競技の選手は実現すれば羽生が初めてとなる。過去の受賞者は、いずれも達成困難な偉業を成し遂げた選手ばかりだが、羽生の同競技の連覇も48年サンモリッツ(スイス)、52年オスロ(ノルウェー)のディック・バトン氏以来、66年ぶりで、十分その「選考対象」に入ると考えられる。

 決定すれば、自身の内閣では7人目の授与となる安倍首相はこの日、都内の自宅前で羽生の金メダル獲得について「大きなけがを乗り越えてのオリンピック連覇は素晴らしい。本当に感動した」と記者団に述べた。その後、都内の私邸から羽生に電話し、「困難を乗り越え多くの人に勇気を与えた。日本人として誇りに思う」と祝福した。

 政府としては、平昌五輪から19年に日本で開催されるラグビーW杯を経て、20年の東京五輪・パラリンピックでスポーツの盛り上がりを頂点に持っていきたいと考えており、授与は格好のタイミングとなる。

 今大会では銀メダルが続いていただけに、国民の多くが待ち望んでいた初の金メダルということも後押しして、羽生の優勝は大きな注目を得た。週明けにも本格的な検討が始まるとみられる。

 ◆国民栄誉賞 広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があった人物、団体の栄誉をたたえる賞で1977年に創設。内閣総理大臣による表彰のひとつで、民間有識者の意見を聞いた上で決定する。慣例として100万円相当の物品が副賞として贈られる。第1号は同年9月のプロ野球・元巨人軍の王貞治さん。これまでスポーツ、文化、芸能関係者25人(うち12人は没後受賞)と1団体(2011年サッカー女子W杯日本代表)が受賞している。

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