【王手報知】女子高生・武富礼衣、女子中学生・小高佐季子の親友2人が女流2級へ同時昇級

スポーツ報知
昇級を決めた直後に喜びの女子トークを展開してくれた武富礼衣女流2級(左)と小高佐季子女流2級

 JK(女子高生)とJC(女子中学生)、親友2人の奇跡―。今月7日に行われた第45期岡田美術館杯女流名人戦(主催・報知新聞社など)予選準決勝で武富礼衣女流3級(18)と小高佐季子女流3級(15)がともに勝利し、女流2級への同時昇級を果たした。3級までは仮資格で2級からは正資格。普段から姉妹のように仲が良い2人は晴れて女流棋士となり、歓喜の女子トークを展開した。

 ―武富さんは岩根忍女流三段に勝利、小高さんは貞升南女流初段に勝利。どちらも実力者に勝っての同時昇級になりました。

 2人「ありがとうございま~す!」

 小高(以下、小)「応援してたんだよ!」

 武富(以下、武)「私だって応援してたんだからね!」

 小「対局前にお手洗いで会ったんですよね」

 武「『大丈夫! 大丈夫!』って。お互いに下は向いてなかったよね」

 ―3級から2級には2年以内に昇級しないといけない規定がありますが、武富さんは1年8か月でギリギリでした。

 武「まだ実感がないです…。重圧と不安で押し潰されそうで、最近は生きてる心地がしなかったです。さっきから(夢じゃないか確認するために)ホッペタ叩いてます。これからはノビノビ指したいです!」

 小「私もアマチュアだった1年前に貞升先生と指して負けていたので、苦手意識があったんです。ずっと今日も気にしながら戦っていましたけど、なんとか勝てたので、去年よりも強くなっていると思えたことがうれしかったです」

 武「あ、私も便乗しよ。私も岩根先生には負けていたので、なんとかリベンジしなくちゃと思ってました。岩根先生は昨日(6日)も大一番に勝った(伊藤沙恵女流二段に勝ってマイナビ女子オープンの挑戦者決定戦に進出)くらい強い方ですけど、ネガティブなイメージだけは持たないようにして」

 ―で、2人とも勝ったのは本当にスゴい。ちなみに3歳離れているお二人ですけど、なんでそんなに仲良しなんですか?

 小「私が最初に話し掛けたんですよね?」

 武「私の方が3歳上なのに、同い年くらいと思われて『何歳なの?』ってタメ口で聞かれて」

 小「すいませ~ん!」

 武「ウソウソ。でも、私が佐賀から来る度に、道場で待ち合わせて将棋を指しています」

 小「将棋もたくさん指してますけど、話すと将棋の話の方が少ないくらいです。いろんなことを相談させてもらってます」

 武「ぜ~んぶ(ネタは)持ってますから(笑い)」

 ―将棋以外では、どんなことをして過ごしているのでしょう。

 武「もともと講師を目指すくらい専門的にやっていたピアノを趣味として弾いています。ストレス解消になります」

 小「奨励会三段の兄(小高悠太郎三段)がいるんですけど、一緒にDVDを見て一緒に笑うのが好きです」

 ―目標は。

 武「タイトルを取ることです。あと、佐賀県からのプロは棋士と女流棋士を通じて初めてなので、県内での普及を頑張りたいです」

 小「私もタイトルを目指したいです。名前を聞けば、あ、将棋の人かと分かるくらいになりたい」

 ―次の決勝は、女流初段への一気の昇級と女流名人リーグ入りを懸けた直接対決になります。

 武「当たるもんね~。でも、リーグ入りすると強い方々と9局も指せるので、入りたいです…入りたいで~す!」

 小「仲が良いですし、戦い方も知り尽くしていますけど、気にすると勝負に関わってしまうので、関係性は関係なく。リーグ入りは女流棋士人生にとって大きいことだと思ってます!」

 そして、制服姿の2人は将棋会館近くのカフェへ。コーヒーを手に、ささやかな乾杯をした。(北野 新太)

 ◆小高 佐季子(おだか・さきこ)2002年6月4日、千葉県佐倉市生まれ。15歳。田丸昇九段門下。将棋道場を運営する父、現奨励会三段の兄の影響で将棋を始める。17年6月、女流3級に。得意戦法は中飛車。佐倉市立佐倉中在学中。4月から千葉英和高に進学。

 ◆武富 礼衣(たけどみ・れい)1999年5月25日、佐賀市生まれ。18歳。中田功七段門下。幼稚園の頃、父と兄の影響で将棋を始める。16年5月、女流3級に。得意戦法は居飛車穴熊。龍谷高在学中で、4月から立命館大に進学。戦前戦後を通じて、初の佐賀県出身棋士・女流棋士に。

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