東京五輪に向け、新たな警備システムを東京マラソンでテスト

スポーツ報知

 平昌五輪が25日、閉幕し、次はいよいよ2020年東京五輪に世界の注目が集まる。この日開催された東京マラソンでは五輪を見据え、人工知能(AI)を使った警備や、車両突撃テロ対策にイスラエル製バリアが導入された。一方、立候補ファイルで輸送の「大動脈」と位置づけられた都道・環状2号線(環2)は、10月の築地市場の豊洲移転を受けて、地上部分を暫定的に開通する。夢の舞台に向けて準備は急ピッチに進んでいく。

 ニュースター・設楽悠太(26)の日本新記録に沸いた東京マラソン。警視庁は民間の警備員と合わせて2万人規模で警備にあたった。東京五輪に向けて第一歩を示したランナーと同じく、大会自体も「2020年五輪」を見据えた試みが導入されていた。

 1つ目は、AI警備。大会関係者によると、レース中にランナーと一緒に走りながら警戒する「ランニングポリス」約100人が装着したカメラや、各地点に配備された監視カメラの映像の中から「不審な動きをした人物」をAIが自動感知。情報は大会運営本部に伝達され、逐一チェックできるという。

 このシステムは東京五輪のオフィシャルパートナーを務める警備会社が運用。東京五輪本番の警備システムの試金石として導入された。昨年の東京マラソンでは、別会社が作った「コース上の監視カメラの映像や沿道の観客がSNSを通じて発信する情報をAIが分析し、運営本部へ伝達するシステム」を試用。AI警備を五輪までにブラッシュアップさせる。

 2つ目はイスラエル製の「車両突入防止バリア」。欧州で車両を群衆に突っ込ませる無差別テロが相次いだことを受け、今年から新たに設置された。高さ70センチ、幅60センチの鉄柵で、車両がぶつかると車体を下から持ち上げる仕組み。大型車両であればあるほど突入が阻止できるシロモノだ。

 この日は交通規制が十分にできない地点2か所に計150個設置された。鉄柵を視察した東京都の小池百合子知事(65)は「有効な新しい機材をこれからも模索して、20年大会につなげていきたい」と、さらなる改善に意欲を見せた。

 五輪組織委は、東京マラソン財団と昨年4月に協定を締結。東京マラソンの運営警備、輸送、ボランティアなどで協力態勢を敷いている。同大会関係者は「五輪本番とコースも違うので一概に言えませんが…」と前置きしながら「テロ対策などの警備情報は組織委と共有していきたい。2年後の五輪の成功につなげていければ」と話していた。

 ◆東京マラソンの警備態勢

 ▼警備の人数 警視庁と民間で約2万人(民間は約6000人)。

 ▼監視カメラ 133台。昨年86台から大幅増。

 ▼警備犬 会場周辺に爆発物などがないかチェック。

 ▼ドローン撃墜部隊 テロに使用される小型無人機ドローンを捕獲するため、迎撃ドローンの操縦部隊が待機。

 ▼機動隊 テロの初動対応に当たる緊急時初動対応部隊(ERT)を配備。

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