バックネット下広告に全米が「何だ?」…大谷契約寝具メーカーに思わぬ反響

スポーツ報知

 米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平投手(23)が1日(日本時間2日午前)、アスレチックス戦でメジャー初登板し、勝利を収めた。大谷とともに米国ファンの注目を集めたのは、スタジアムのバックネット下に掲出された寝具メーカー「西川産業」(通称東京西川)の看板広告。テレビ中継で説明されるなど思わぬ反響に、昨年から大谷とサポート契約を結んでいる同社は大喜び。現在、海外展開はアジアのみだが、今後北米への進出を目指す大きなチャンスとみている。

 大谷が投げる先には漢字で「東京西川」の4文字。米国では試合中から「あの文字は何だ?」と話題となった。ESPNのある記者は「大谷のスポンサーとして、今後このような広告が出されることになるだろう」とツイート。そのつぶやきに「どんな意味なんだ?」と返信が寄せられると、別の投稿者たちが「東はイースト」「京はキャピタル(首都)」「川はリバー」「会社らしいぞ」などとリアクションした。

 地元テレビ局では中継で同社について説明されるなど注目度が一気に高まった。

 「西川産業」は室町時代に創業し、452年の歴史を持つ寝具メーカー。昨年3月に大谷と「睡眠コンディショニングサポート契約」を締結。プロ入り当初から同社の「エアー」シリーズを使用していた大谷に寝具の提供や快適な睡眠のアドバイスなどを行っている。

 同社によると、今回は新たな舞台での活躍を願い、ビジターではあるものの開幕カード4試合の広告契約を結んだ。打者として初打席初安打を記録した3月30日も看板が掲出されていた。

 米スポーツ市場に詳しい関係者によると、バックネット下の広告は試合の約25%の時間で映し出される、最も注目度の高い場所。球団の人気や看板の大きさなどにもよるが、広告料は1イニングで1000~3000万円になるという。

 今回の看板はエンゼルスの攻撃中も掲載されていたが、大きさはイニングごとにまちまちで、詳細な広告料金は不明。宣伝効果について「松井秀喜氏やイチローの時に並ぶのでは」とみる関係者もいる。

 同社では今後の広告の掲出に関して、現在のところ未定だが、検討に入るという。広報担当者は「うちの寝具でコンディションを整えてもらい、シーズンを通じて活躍してほしいのを願うのみです」と話すが、同社の北米進出に弾みをつける狙いも。現在、同社の海外拠点は中国・上海とシンガポール、マレーシアの3か所のみだが、今後の大谷の活躍と共に「大谷が使っている寝具」ということが広がれば、購入希望者が出てくる可能性も大いにありそうだ。

 ◆西川産業 本社は東京・日本橋で、通称は「東京西川」。1566年、初代・西川仁右衛門が近江国(今の滋賀県)で蚊帳・生活用品販売業として創業。1887年、大阪と京都でふとんの販売を始める。1929年、「西川」の商標を制定。47年、卸部門の「西川産業」を設立。71年、業界で初めて海外デザイナーとのデザイン提携を結ぶ。2013年、全日空(ANA)国際線のファーストクラス、ビジネスクラスにマットレスなどを導入。従業員数は995人、売上高は約340億円(17年)。

 ◆過去の大リーグの主な広告効果

 ▼イチロー 2010年9月23日、マリナーズのイチローはブルージェイズ戦で1番ライトで先発出場し、第3打席で10年連続200安打を達成。バックネット下の広告看板は自動車メーカー「HONDA」。テレビのニュースなどで10分40秒の露出となり、広告換算値は約1億5000万円。

 ▼松井秀喜 2010年4月5日、エンゼルスに移籍した松井は開幕戦でツインズと対戦。4番DHで先発出場し、第4打席で右中間に本塁打を放った。右中間スタンドに掲出されていたOA電子機器メーカーの「コニカミノルタ」の看板がテレビなどで約2分19秒間映り、約3200万円の広告換算値となった。(ともにニホンモニター調べ)

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