日大・内田前監督会見は大失敗 “乱入”司会者は「爆弾」…危機管理のプロが分析

スポーツ報知
23日の会見が非難を浴びている日大アメリカンフットボール部の内田正人前監督(右)と井上奨コーチ

 日大アメリカンフットボール部の悪質タックル問題で、内田正人前監督(62)と、井上奨(つとむ)コーチが出席して23日に開かれた会見が、各方面から非難を浴びている。2時間超にわたる会見は、一体何が問題だったのか? 危機管理広報会社・エイレックスの江良俊郎社長と、元吉本興業の広報マンで、現在は「謝罪マスター」を自称する株式会社モダン・ボーイズの竹中功さんに聞いた。

 関学大のQB(クオーターバック)を負傷させた宮川泰介選手(20)の会見翌日に行われた内田前監督と井上コーチの会見。宮川選手の発言と真っ向から対立する内容は関係者のみならず、会見を見た人たちからも「ありえない」と総ツッコミを受けた。

 専門家も見る目は同じだ。企業の危機管理広報に詳しい江良さんが「失敗だったと思います」と話せば、竹中さんも「0点ですね」とバッサリ。いわゆる謝罪会見では、2013年に「偽装ではなく誤表示」と出崎弘社長が言い放った阪急阪神ホテルズのメニュー偽装問題など「失言」で炎上することがままあるが、今回の場合は何が問題だったのかを分析してもらった。

 《1》準備不足 「宮川選手の会見が先にあり、それを受けて発言できたはずなのに、具体性が全くなかった。相談ができていなかったのでしょう」と竹中さん。内田前監督の「指示はしていない」の言葉も具体性に乏しいため、「信じていただけないと思うんですが」と自ら“前振り”してしまった。

 《2》謝罪の相手が見えない 江良さんは「内田前監督は会見後半の『日大の皆さんに迷惑をかけた』という言葉が本音だと思う。一方、宮川選手は相手選手をはじめ、関係者に対して真摯(しんし)に謝罪の態度を示していました」。どちらが真実を話しているかは分からないが、印象は一目瞭然だ。

 《3》劇場型会見 問題は複雑ではないが、会見に至るまでや当日の内田前監督の態度が、中身よりも「会見そのもの」に注目を集める結果となった。「その意味では、14年7月の野々村竜太郎兵庫県議(当時)の会見に似ています。号泣があったから『世界配信』されましたが、問題の中身は単純でした」(江良さん)

 《4》司会の『乱入』 会見の後半、日大広報部の米倉久邦さんが報道陣とバトルに。「会見を打ち切ろうとする、しゃしゃり出る…。私も司会を務めますが、最もやってはいけないこと」と江良さん。竹中さんも「途中から2人よりも司会が主役に(笑い)。あの存在は『爆弾』でしたね。すべてダメです」。

 今後、2人に「巻き返し」のチャンスはあるのか? 江良さんは「第三者委員会を立てるとのことですが、処分と責任を明確にすること。生まれ変わったと周囲が確認できない限りは、難しいでしょう」とみている。

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