籠池夫妻「国策勾留」安倍首相へ「本当のこというべき」保釈で10か月ぶり姿

スポーツ報知
会見で時折笑顔も見せる籠池泰典被告と諄子被告

 学校法人「森友学園」の補助金詐取事件で詐欺罪などで起訴され、大阪拘置所に勾留されていた学園前理事長・籠池泰典被告(65)と妻の諄子(じゅんこ)被告(61)が25日夕、保釈され、約10か月ぶりに姿を見せた。大阪地裁は23日に保釈を決定、大阪地検が不服として申し立て準抗告をしたが、棄却した。籠池被告が800万円、諄子被告が700万円の保釈保証金を納付した。両被告はこの日、大阪市内で会見した。

 この日午後5時20分過ぎ、大阪拘置所から298日ぶりに保釈された籠池夫妻は午後8時、大阪市内で会見に臨んだ。籠池氏はマイクを握ると「みなさん。こんばんは。お久しぶりでございます」。顔を紅潮させて朗々と語り始めた。「10か月も入っておりましたので、体力も落ち、足腰が弱っております」と言いながら、勾留前と変わらぬ堂々とした立ち姿で100人を超える報道陣を見回すと、満面の笑みを見せた。

 髪が肩まで伸び、足をひきずるなど、少しやつれた様子だった妻・詢子被告は約30分間の会見中、ほとんどしゃべらなかった。籠池氏が「国策勾留と認識している」と文書を読み上げている途中、泣き出した諄子被告について「冤罪(えんざい)や。私をおとしめるのは結構ですが、家内は詐欺にはタッチしていない」と主張した。

 籠池氏は安倍晋三首相に対して「為政者は本当のことを言うべきだ。正々堂々と伝達、報告するものだ」と持論を展開。昭恵夫人についても「本当のことをしっかり伝えたらいいのではないか」と話した。夫人から100万円の寄付金を受けたなどと証言した昨年3月の証人喚問については「言ったことに虚偽はない」と繰り返した。

 勾留中は、2人別々に3畳ほどの小さな部屋で差し入れの新聞や本を読んで過ごしたそうで、「中に入っている間にどのようなことが起こっていくのか」などと考えていたという。

 妻とも久々の再会となり「私たちは相思相愛でよかったよな。生きててよかったなあと。この人と結婚してよかったな。またこれから人生歩ませてもらおうかなと」と夫が言えば、妻もこの時ばかりは声を弾ませて「お父さんと結婚してよかった! 私、幸せです」と言い切った。

 籠池氏は「早朝の 志を得る 初夏の風」と、今朝作ったという自慢の一句を披露。昨年4月の開校は断念したが「小学校の開校については決してあきらめておりません」と宣言した。

 大阪地検特捜部は学園が大阪府豊中市の国有地で開校を目指した小学校建設を巡り、国の補助金約5600万円を詐取したとして両被告を起訴。大阪府や大阪市の補助金計約1億2000万円をだまし取ったなどとして追起訴した。

 逮捕前と変わらぬ「籠池節」を披露したが、自身の詐欺罪などには「公判準備中なので詳細をお話しすることは控えたい」と述べるにとどまった。

 関係者によると、籠池被告は府市の補助金詐取の起訴内容について、補助金を申請したことは認めるという。諄子被告は全面否認の方針。国の補助金については両被告とも詐欺罪の成立を争う。

 ◆安倍首相夫妻と森友学園 2017年4月開校予定だった小学校の名誉校長に昭恵夫人が就任。籠池氏が昭恵氏の名前を出して財務省近畿財務局などと交渉を進めようとしたことや、昭恵氏付の政府職員・谷査恵子氏が学園の名前を挙げて財務省に照会したことが、廃棄された財務省の資料などから明らかになり、安倍氏への忖度(そんたく)が疑われている。また、昨年3月の証人喚問では籠池氏が昭恵夫人から「安倍晋三からです」と100万円の寄付金を受け取ったと詳述。安倍氏は否定している。

 ◆2人に聞く

 ―保釈された気持ちは

 籠池氏「国策勾留だ。ようやく出してもらった。長くて苦痛。これから活躍させてもらわなアカン。小学校建設はあきらめていない。吉田松陰先生の志で進めたい」

 ―国会答弁後の決裁文書書き換えや交渉記録廃棄指示についてどう思う

 「文書は国民の財産。それを書き換えることは国家公務員が絶対してはならないことだ。佐川(宣寿前国税庁長官)氏がウソの証言をしてから歯車がおかしい。佐川氏らが不起訴になったら? 神風が吹いてないということ」

 ―土地取引で安倍首相夫人の影響はあったと思うか

 「証人喚問で言ったことに虚偽はない」

 ―詐欺罪について主張は

 「公判はこれから。この場では言えない」

 ―詢子被告は冤罪?

 「(元厚労省官僚で逮捕され無実になった)村木厚子さんと同じ。私をおとしめるのは結構だが、家族まで拘置所にぶち込んで。封建主義の世の中だ」

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