中野区長選、サンプラザ解体見直し派の酒井直人氏が初当選

スポーツ報知
中野区長選で初当選した新人の酒井直人氏

 10日投票、11日に開票された中野区長選(東京)で、立憲民主党、国民民主党、自由党、社民党が推薦する新人の酒井直人氏(46)=元区職員=が、現職で5選を目指した自民・公明党の中野総支部推薦の田中大輔氏(66)ら3人を破り、初当選を果たした。酒井氏はこの日午前、会見し、争点となった多目的ホールの「中野サンプラザ」解体是非を含むJR中野駅北口の再開発については、白紙に戻し見直す考えを示した。

 酒井氏は「野党共闘がうまく行きました。児童館の存置を含む子育て支援や高齢者福祉にしっかり取り組み、現行の駅前再開発は、立ち止まってしっかり区民と議論をしていきたい」と満面の笑顔で区政改革の意気込みを話した。

 酒井氏は岐阜県出身。早大法学部時代から中野区に住み、区の職員になった。約20年間務め、広報担当副参事などを歴任。だが、「住民の声が反映されぬまま、トップダウンで駅前再開発計画が進められている」として退職。「全員参加のボトムアップで意思決定がなされる区政」を訴え立候補した。退路を絶っての決断を「今考えると、自分でもよく辞めたなと思う」と振り返るが、選挙期間中は、立憲民主党の枝野幸男代表(54)や蓮舫参院議員(50)らが続々と応援に入り、停滞した区政刷新の必要性を訴えた。

 投票率は前回を4・96ポイント上回り34・45%。「中野サンプラザの解体是非が話題になり、区民の関心が上がったのだと思う」と振り返った。

 中野区はサンプラザと区役所を解体して、高層オフィスビルと1万人収容のアリーナを建設する計画を進めている。また「平和の森公園」の樹木を伐採し、体育館を移設する工事を進めているが、住民訴訟が起きて区民と係争中だ。

 酒井氏は「1万人規模のアリーナが本当に必要か疑問だ。またサンプラザを残すならば、どれだけの費用がかかるかの議論もなされていない。平和の森公園の工事も含めて見直して、区民の皆さんとの意見交換会をしていきたい」と話した。年内には基本構想をまとめたい考えだ。

 酒井氏は学生時代から約30年間暮らす中野区を「いろんな人が住み、お互いに認め合う多様性の街」と評し「その良さをさらに生かしていきたい」と意気込んだ。

 開票結果は以下の通り。

 酒井直人、無所属・新、当選、3万6758票

 田中大輔、無所属・現、2万7801票

 吉田康一郎、無所属・新、1万4534票

 市川稔、無所属・新、1万2064票

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