小学4年生圧死違法ブロック塀、府警が捜査 大阪北部地震、死者5人に

スポーツ報知

 大阪府北部で起きた震度6弱の地震から一夜明けた19日、高槻市立寿栄(じゅえい)小の4年生・三宅璃奈さん(9)が違法建築だった同校のブロック塀の下敷きになり亡くなった現場に、児童や住民が絶えず訪れ、手を合わせた。一方、大阪府警は業務上過失致死容疑で捜査を開始。消防庁などによると、19日時点で地震による死者は府内の5人、負傷者は6府県で376人、住宅の一部損壊が334棟に上ることが判明。避難者は府内で約1700人となった。

 通学中だった璃奈さんが亡くなった現場には、たくさんの花束やジュース、お菓子、犬のぬいぐるみなどが供えられていた。三宅さん親子と交流があった近くの女性(40)は現場近くに設けられた献花台を訪れ「安らかに眠ってください」と涙を流した。

 女性の息子(9)は花を手向け「璃奈ちゃんはクラスの人気者だった。勉強が分からない時は教えてくれる優しい子。今は何を言ったらいいか分からない」とつぶやいた。

 近くに住む会社員・溝田泰彦さん(59)は「小さい子どもがまさか犠牲になるとは。かわいい盛りで家族もつらいだろう」と肩を落とした。ブロック塀については「(外部から)プールが見えてしまうという理由で作っていたのかもしれないが、必要なかったのではないか。安全性に考慮すべきだった」と憤った。

 幼い璃奈さんの命を奪ったブロック塀は、建築基準法が定める高さを超えていた。市によると、塀の高さは1・6メートルで、1・9メートルの基礎部分の上に積み上げられていた。合わせると3・5メートルになり、建築基準法で定める2・2メートル以下の基準を上回っていた。高さ1・2メートルを超える場合は、壁面から直角方向に突き出すように「控え壁」を一定間隔で設置し、塀の強度を高めるよう規定しているが、その設備もなかった。

 府警はこの日午前、業務上過失致死の疑いで捜査を開始。捜査員約10人が現場検証し、消防とともに倒壊したブロック塀の状況を調べた。璃奈さんが下敷きになった塀は約40メートルにわたり、死因は全身骨折による失血だったと明らかにした。

 文部科学省から派遣され、現場を視察した専門家は記者団に「ブロック塀と下の基礎部分を接続する鉄筋が短かったので、脆弱(ぜいじゃく)性につながった可能性がある」と指摘した。

 林芳正文科相は記者会見で「法律違反であれば誠に遺憾だ」として、原因究明を進めると強調。また、全国の小中学校の設置者に対し、ブロック塀の安全点検の緊急実施を求めた。石井啓一国土交通相も自治体や所有者に対策を要請する考えを示し「安全点検に文科省と連携して取り組む」と述べた。

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